旭化成・小堀秀毅会長「誠実さを守りながら、サプライヤーと成長していくことが重要」
■下請法などの内容を従業員に認識させる講習会を繰り返し実施
――中小企業庁が以前行った調査で、受注者側から、かなり好印象を得ている企業として旭化成の名前が挙がっていた。具体的に、下請け企業に対して、どのような対応をしているのか。 (旭化成・小堀秀毅会長)日頃から、いくつかの施策を行っています。下請法などでの禁止事項、それから「パートナーシップ構築宣言」の中身などをしっかり理解しようということで、定期的に講習会を開いています。それから、下請法の禁止事項などを具体的な例を挙げて、eラーニングで教材を作って、そして従業員が自発的に勉強する。その中には小テストも入れて繰り返し、それを学ぶ。そういうことを毎年やっています。そういう意味では、価格転嫁に対する政府の指針をしっかり受け止め、サプライヤーとのお付き合いをさせていただいております。 企業文化、カルチャーを作るということは非常に重要で、こういったことは、急に「何かをやれ」と言っても、物事が過ぎれば忘れてしまいます。やはり、会社のカラー、カルチャーとして、ずっと風土として継続していく重要な項目ではないでしょうか。バリューの一つとして、誠実さやコンプライアンスを守りながら、サプライヤーとともに成長、発展していくことが非常に重要なポイントではないかと思います。特に我々、製造業は原燃料を仕入れて、そこで製造、加工をしながら、価値をつけてサプライチェーンに流していくポジションにいますから、やはり我々単独でお仕事できる流れはないですね。
■「会社や事業のために貢献できているかを重要なポイントとする」
――パートナーシップ構築宣言をしている企業でも、現場の担当者が(価格転嫁への取り組みを)していないということもある。そういうことが起きないようにするには、担当者が利益を上げるというよりも、そうした精神を持つことが、自分の賃金にも反映されるようにしていくということか。 (旭化成・小堀秀毅会長)会社や事業のために貢献できているかどうかということが非常に重要なポイントで、そういう視点で仕事ができているかどうかということを上司が部下に伝えていくことが重要ではないかと思います。手柄を上げたことで、会社のためにいい形になっているのか、事業に貢献しているのかということですね。「一時的にコストダウンさせて利益は出ているけど、下請け企業との関係がおかしくなっている」ということは非常にマイナスな話ですから、やはりそこは厳しく評価の中に出てくるということだと思います。