「盗めるアート展」の仕掛け人。気鋭クリエイティブディレクターの住まいと装い【「ギフティ」CCO 長谷川踏太さん】
かっこいい大人は、どんな暮らしをしているのか、皆さんも気になりませんか? そこで、そんな方々に取材を、日々の生活からそのスタイルのヒントを読み解くことに…。今回は、クリエイティブディレクターとして数々のグローバル企業の案件を手がけてきた、長谷川踏太(はせがわ とうた)さんの自宅にお邪魔しました。 【お部屋づくりのヒント写真集】引っ越しても組み立てやすいよう、ユニットごとに管理された長谷川さんの居住空間
これまでの経験と知識で構成される家主の頭の中が、具に表現されたレイアウト
オンラインギフトサービスの「ギフティ」をはじめ、企業のクリエイティブを数多く手がける長谷川踏太さん。高校卒業後に渡英したのち一旦帰国、その後デンマークへと移り、そこから再びロンドンへ…。まさに世界を渡り歩く、グローバルな経歴と知識の持ち主です。 現在は日本を拠点に活動しながら、ロンドンのクリエイティブ集団「tomato」にも唯一の日本人メンバーとして所属しています。また、武蔵小山では「same gallery」を運営し、若手アーティストの支援を行うなど活動の場は多岐にわたります。ちなみに2020年に開催され話題になった、「盗めるアート展」を仕掛けたのもこのギャラリーです。 クリエイティブの最前線で活躍している長谷川さんの住む自宅は、「きっとショールームのようなコンセプチュアルな部屋」と思いきや、返ってきた答えは意外なものでした。
「あまり部屋づくりのコンセプトというのを、あまり意識したことはないですね。どちらかと言うと、今まで自分が生きてきた過程で集まってきた持ち物や趣味など、過去からの蓄積が今の部屋になっていると思うので…。あとは、『常に感覚をアップデートというか変化させておかないと』とは思っています」 そう言って見せてくれたのは、中国・唐の時代の陶器。 「若い頃は自分の感覚で好きなものを選んでいましたが、40代になったぐらいからかな、今までの価値観にはないものを積極的に勉強して取り入れ始めるようになりました。そうしてたどり着いたのが、この時代の骨董品というわけです。広く浅くということはないのですが、ある程度の深さまでいって次の興味に移っていくというのを繰り返していく――それが自分の仕事にも生きているのかなとも思います」 その言葉どおり骨董品やバンクシーの作品など、時代もジャンルもさまざまなものが不思議と調和がとれた状態で並んでいます。その様は、過去からの蓄積と呼ぶにふさわしい長谷川さんにしか表現できない部屋づくりではないでしょうか。