清少納言の百人一首「夜をこめて~」の意味や背景とは?|清少納言の有名な和歌も解説【百人一首入門】
清少納言が詠んだ有名な和歌は?
三十六歌仙(奈良時代から平安時代までを代表する、36人の優れた歌人)の一人にも数えられている清少納言ですが、どのような歌を詠んでいたのでしょうか? ここでは、清少納言が詠んだ有名な和歌について紹介します。 1:身を知らず 誰かは人を 恨みまし 契らでつらき 心なりせば こちらは、平安時代後期から鎌倉時代前期に成立したとされる家集『清少納言集』に収められている和歌です。現代語訳すると、「身もわきまえずに、一体誰が契りを交わしていない相手のことを恨んだりするのでしょうか?(あなたに恨まれる筋合いはございません)」という意味になります。 当時は、和歌や管弦などの素養があればあるほど良いとされていたため、相手の男性にとっては、教養深い清少納言がとても魅力的に思えたのかもしれません。これは、男性からのアプローチを清少納言がはっきりと断っている歌と言えるでしょう。 この和歌からは、歯に衣着せぬ、清少納言の強気な一面を垣間見ることができます。 2:風のまに 散る淡雪の はかなくて ところどころに 降るぞわびしき こちらも、『清少納言集』に収められている和歌で、「風に吹かれて散る淡雪のように、みんなが散り散りになって離れている今は、本当にわびしいものです」という意味です。 道長の兄・藤原道隆が栄華を極めていた頃、清少納言は道隆の娘・定子の女房として仕えていました。定子の女房には粒ぞろいの才女が集められ、清少納言は彼女たちとともに、毎日楽しく生活していたそうです。しかし、道隆が病没したことで中関白家(道隆の家系)は衰えてしまいます。 その後も、清少納言は定子に仕えましたが、長保2年(1000)に定子が亡くなり、一人取り残されてしまいました。 これは、寂しい生活を送る晩年の清少納言が、かつての仲間や楽しかった日々のことを懐かしんでいる歌のように思われ、『枕草子』にはない一面を感じさせます。