山手線「駅名」ストーリー 目黒(JY22)と目白(JY14):江戸を護るお不動さんにちなむ不思議なつながり
目白駅から高田馬場駅へと伸びる山手線の線路沿いには、おとめ山公園がある。歴史学者の安藤優一郎によると、「おとめ山」というロマンチックな名称は、実は「御禁止山」または「御留山」だった。つまり、立ち入りが禁止されていた。理由は徳川将軍の鷹狩場だったからだ。 狩りをするには、獲物となる鳥獣が棲息する環境を保持しなければならず、そのため人の立ち入りを禁じていたわけだ。 農民にとっては難儀な問題だった。鳥獣には猪など害獣もいた。狩場の中にいてくれれば良いが、外に出れば田畑を荒らした。しかし、将軍の獲物である以上、農民は駆除できなかった。 猪がいた狩場が、現在は都民の憩いの場となっている。都心を走る山手線の沿線には、そんな地もある。
【目黒駅データ】
・開業 / 1885(明治18)年3月16日 ・1日の平均乗車人員 / 8万3770人(30駅中第18位 / 2022年度・JR東日本調べ) ・乗り入れ路線 / 東急目黒線・東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線
【目白駅データ】
・開業 / 1885(明治18)年3月16日 ・1日の平均乗車人員 / 3万840人(30駅中第28位 / 2022年度・JR東日本調べ) ・乗り入れ路線 / なし
【参考文献】
・『東京の地名由来辞典』竹内誠編 / 東京堂出版 ・『東京23区の地名由来』金子勤 / 幻冬舎 ・『東京・江戸 地名の由来を歩く』谷川彰英 / KKベストセラーズ ・『地形を感じる! 駅名の秘密 東京周辺』内田宗治 / 実業之日本社 ・『山手線お江戸めぐり』安藤優一郎 / 潮出版社
【Profile】
小林 明 1964年、東京都生まれ。スイングジャーナル社、KKベストセラーズなど出版社での編集者を経て、2011年に独立。現在は編集プロダクション、株式会社ディラナダチ代表として、旅行・歴史関連の雑誌や冊子編集、原稿執筆を担当中。主な担当刊行物に廣済堂ベストムックシリーズ(廣済堂出版)、サライ・ムック『サライの江戸』(小学館)、『歴史人』(ABCアーク)、『歴史道』(朝日新聞出版)など。