「子宮頸がん」は予防可能?ワクチン接種についてやHPVのリスクを解説
ワクチンで子宮頸がんは防げるの?
スウェーデンの研究によると、HPVワクチンを受けたことがある人とない人を比較すると、ワクチン接種で49%子宮頸がんを予防できるというデータがある。
また、10~16歳でHPVワクチンを接種した(1回以上)場合、子宮頸がんの発生率を88%、17~30歳までだと53%減少できるとされる。このように、接種年齢が若いほど高い予防効果が期待できる。 HPVワクチン接種率が約89%のオーストラリアでは、2035年までに子宮頸がんを撲滅できると言われており、ワクチンの効果が実証され始めている。
ワクチン接種が見直されているけど、副反応の心配は?
日本では2013年にHPVワクチンが定期接種の対象となったが、2か月後の同年6月にワクチン接種後の体調不良を訴えた若者についてメディアで大きく取り上げられたことにより、ワクチンの積極的接種勧奨が一時差し控えに。その後、約70%だったHPVワクチン接種率は1%未満まで減少した。しかし厚生労働省によると、メディアで放送されたいくつかの有害事象の症状は、ワクチン接種との因果関係は証明されていない。 それと同時に、HPVワクチンに限らずどのワクチンでも副反応が生じる可能性があることも予防の選択をする上で理解しなくてはならない。インフルエンザやコロナウイルスのワクチン接種後発熱などの症状が出ることがある。
初性交渉後、特にキャッチアップ世代の若者でもワクチンの効果はあるの? 今からでも遅くない?
年齢が上がるにつれ性交渉の数とHPV感染リスクは増える。そのため国では、性交渉前又は性交渉の経験が少ないと考えられる小学校6年生~高校1年生相当の若者向けに積極的接種勧奨が行われているが、性交渉後のワクチン接種でも予防効果はあると言われている。 その理由の一つが、HPVには様々な型があるということ。 HPVワクチンには2価、4価、9価の3種類あるが、予防できるHPV型がそれぞれ異なる。例えば、4価ワクチンは6・11・16・18型の4つを予防することができる。そのため、4つのうちいずれかの型のウイルスに感染してしまっても、それ以外の型への感染はワクチンで予防することができる。 上記の4つの型に加え、31・33・45・52・58型と、多くの型を防ぐことができる9価ワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVのうち80~90%に対応できると言われており、2023年4月から定期接種に追加された。17歳~26歳のキャッチアップ世代と呼ばれる若者も無料接種の対象である。
ワクチンを接種しない選択をした場合、予防のために出来ることは?
子宮頸がん検診の受診。子宮頸がん検診は、子宮の入口の細胞を採りそれに異変がないかをチェックするもので、性行為の経験をしたら、20歳以上であれば2年に1回検診を受けることが推奨されている。この検診は早期発見・対処のために非常に重要である。 膣口から約7cmのところにある子宮頸がんは、医師が目で確認できる距離にあるため、早期発見さえできればすぐに対処することができる。だからこそ、ワクチンを接種しない選択をした場合でも子宮頸がん検診に行くことが重要である。