大学中退、就職もしないけど、自分ができることを頑張ればいい。刺しゅう作家・神尾茉利さんが時間をかけて見つけた一番の喜び
刺しゅうは自分にとってちょうどいいコミュニケーションツール。昔も今も話すのは苦手なままだけど、刺しゅうでならすらすらと語れている気がする
作家活動を通じて社会と関わり、作品を届けることが“言葉”の代わりになる。受け取った人が物語を作ったり想像したりをするきっかけになることが、制作の喜びにつながっているそうです。 「私がやりたいのは、言葉じゃない方法で語ること・伝えること。それは衣装デザイナーになりたいと思った気持ちと通じています。今はその方法が刺しゅうです。作品について、お客さんとコミュニケーションを取るのが好きな作家さんもいますが、そうではない人もいて、私は後者です。 作品が人の手に渡り、見えないところにまで届いていくほど嬉しいんです。私が物語を込めた刺しゅうも、その刺しゅうだけを見た人にはまったく違う物語に映るはず。答えがひとつではないということは、私が時間をかけて見つけた一番の喜びです。子どものころから今も話すのは苦手なままですが、刺しゅうではすらすらと語れている気がします。きっと自分にとってちょうどいいコミュニケーションツールなんだと思います」
My wellness journey:神尾茉利さんに聞きました ▶▶ 心のウェルネスのためにしていること
「人に頼ることです。自分が苦手なことは誰かにお願いして、そうして生まれた余裕でできることを頑張る。家事でも苦手なことは家族にお願いして、得意なことは自分がやるようにしています」
体のウェルネスのためにしていること
「本を読んだり、散歩をしたり、街を見ることです。自然も好きですが、人が作ったものを見ること、人の営みを見ることで前向きな気持ちや元気がもらえます」 Staff Credit 撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子