【#佐藤優のシン世界地図探索64】プーチン大統領の逆襲
佐藤 そうでもないですね。ロシアはいままで日本軍国主義に対する戦争が日朝関係の基礎を作ったという歴史観に関して、ソ連崩壊後は対日配慮があったので述べたことはありません。今回の共同声明からうかがえるのは、ロシアにとって日本が非友好国から敵対国に近づいているということです。 ――これ、一部の方々は分かっているかもしれませんけど、大半の方々は気が付かない大転換ということなんですね。 佐藤 その通りです。しかし、これだけでは終わりません。 ――まだ、隠された歴史的な事実があるんですか? 佐藤 いや、これからのことです。 ――未来の話ですか......。 佐藤 ロシアは、ドルに頼らない決済システムを目指しています。具体的にはペトロダラー(原油取引に使われるドル)を崩壊させることです。これには、サウジアラビア、イラン、アラブ首長国連邦が加わります。すると、ペトロダラーがダブつきます。そこで米国の世界経済の基軸通貨とされるドルをぶっ壊してやるという、かなり大胆な野望です。 ――ペトロダラーがなくなると、ペトロルーブルになるんですか? 佐藤 それはあり得ません。私は「金本位制」に戻ると思いますね。世界情勢が不安定で、政治力のある国が軍事力を背景に貨幣というシステムを維持できなくなります。そうしたら、モノで担保せざるを得ません。 すると、世界の金のほとんどは米国連銀の地下倉庫にあるため、おそらく米国は全部、ガメてしまうのではないでしょうか。 ――1960~70年代の娯楽映画では、よくフォートノックス(アメリカ陸軍施設)の金が強奪されていました。それが米国国家自体によって行なわれる? そんな娯楽映画の脚本では企画が通らないですよ。 佐藤 米国を守るためにはそうせざるを得ません。だから、これまでの常識で考えたらあり得ないことが起きるかもしれません。 ――プーチンが北朝鮮に行くだけで始まる革命ですか? 佐藤 いまのところは"逆襲"ですね。この2年間、西側連合にやられ続けたロシアが逆襲に出た。そして、その逆襲はもうひとつあります。 ――二本立ての逆襲!!