吉村洋文新代表率いる維新の課題 国民民主党との差別化 規制緩和と減税の合わせ技で保守回帰の政策打ち出せるか
【日本の解き方】 日本維新の会は、吉村洋文大阪府知事が新代表となった。10月の衆院選では地元の大阪で強さを見せたものの、その他の地域では伸び悩み、議席を減らした。新体制となった維新が勢いを取り戻すには、政策の方向性や与野党との距離感をどう定めるべきだろうか。 【表でみる】吉村新代表が代表選で示した選挙戦略 衆院選で、維新は絶好のチャンスを逃した。本コラムでも、«政策面をみると、維新と国民民主では似ているところが多い。しかし、イメージとして、「政治とカネ」の問題などで維新が自公と近いように感じられ、自公とともに得票数を下げてしまったのではないか。維新の内輪もめのような雰囲気も有権者の失望を招いたのだろう»と書いた。 国政において、いわゆる「第三極政党」は挫折の歴史だ。理念先行で新党の勢いがなくなれば政策実現に限界が生じ、党内の路線対立などを繰り返し、消えていった政党は多い。 政党史を振り返ると、1976年に新自由クラブ、92年に日本新党、93年に新党さきがけ、2009年にみんなの党などが誕生した。しかし、いずれも長くて10年で、自民党に吸収されるか、党内路線対立などで崩壊している。 その点、維新は12年の結党以来、合流や解党・分裂を経ながらも12年にわたり継続している。大阪という地域で首長をしっかり確保し、地方行政経験があるのが大きいと考える。 大阪でのキャッチフレーズは、議員の「身を切る改革」と「規制改革」だ。 身を切る改革は、「政治とカネ」問題の解決に最適のはずだ。いわゆる旧文通費(文書通信交通滞在費、現調査研究広報滞在費)では、前から良いことを言っていたが、世間へのアピールに欠ける部分もあった。 規制改革は、「小さな政府」論につながり、減税とも親和的だ。衆院選、兵庫県知事選、名古屋市長選をみても、減税や天下り禁止に対する有権者の期待は大きいが、そうした分野で優位のはずの維新は流れをつかみ切れず、衆院選では、競合関係にある国民民主党に票をさらわれた。議員が政策を勉強するのはいいが、勉強しすぎて政治家の本業である世論の流れを見過ごしてしまったようだ。 今回、前原誠司氏を共同代表にして、新体制をスタートさせた。前原氏の政治家としての経歴をみると、所属政党は日本新党、新党さきがけ、民主党、民進党、希望の党、国民民主党、教育無償化を実現する会などを渡り歩いてきた。政治家としての勢いは、民主党までは上り調子だったが、その後は下降線をたどっているようにみえる。