ソウル・聖水洞にあふれるゴミ…深刻化する「ポップアップストア由来の廃棄物」
【09月16日 KOREA WAVE】6日午前10時30分、ソウル市城東区聖水(ソンス)駅3番出口前。地下鉄のエスカレーターを降りると、鈍い鉄筋がぶつかる音が聞こえ、フォークリフトが見えた。少しずつ雨が降り始めた早朝の聖水洞は、ポップアップストア(ショッピングモールの空きスペースなどに期間限定で設置される小売店)の工事で忙しい。 約1.2kmほどの通りには、この日、11カ所のポップアップストアが設置・撤去されていた。工事現場の入り口ごとに、木材やビニールなど使い終わったインテリア資材を積んだトラックがあり、すぐ隣の路地には75リットルのオレンジ色のごみ袋が10袋以上積まれていた。 同市恩平区から友人と訪れたイ・ソヒョンさん(22)は「あちこちでドリルの音が聞こえ、路地ごとに発泡スチロールやビニール、ごみ袋が積まれていて驚いた。聖水洞全体が一つの工事現場のようだ」と語った。 ソウル市のデータによると、城東区の廃棄物排出量は2018年の51.2トンから2020年には220.1トン、2022年には518.6トンに急増している。 ソウル環境連合活動家ホ・ヘユン氏は「コロナ禍を経て韓国国内の廃棄物排出量が増加し続ける中、ポップアップストアなど短期イベントの増加により、城東区一帯の廃棄物問題が深刻化している。廃棄物の登録から処理に至るまでの一貫した規定がまだ整備されておらず、問題が解決されていない」と指摘する。 ◇1件の撤去で廃棄物平均3トン ポップアップストアの工事で発生する廃棄物は、いったいどこに行くのだろうか。 あるカバンブランドのポップアップ工事現場で出会った作業員パク・ホンス氏(42)によると、ポップアップの撤去作業では通常、1トントラックが2~3台使われるという。大部分は生活廃棄物として分類され、民間の廃棄物処理業者に一括して送られるそうだ。 ポップアップの廃棄物は、まず江南区に密集する民間業者に送られる。その後、廃棄物の種類によってリサイクルされるか焼却されるが、ポップアップで発生する廃棄物は主に木材やビニール類であるため、リサイクルよりも焼却に適している。そのため、3トンに達する廃棄物の大部分が特別な分別プロセスなしに焼却されているという。 実際、この日、記者がポップアップ工事現場前で見つけたごみ袋の山18袋のうち、13袋がビニール類であることが確認された。 ◇「持続可能なポップアップモデルが必要」 今年6月、城東区庁は9つの部署が協力して「ポップアップストアTFチーム」を結成し、関連マニュアルを制定した。再利用可能な資材の選別、廃棄物の混合排出禁止、使い捨て用品を控えるといった内容が盛り込まれている。 しかし、このマニュアルには強制力がなく、単なる推奨にとどまっている。区庁の関係者は「マニュアル発表後、再使用容器の支援事業などを開始したが、この事業に応じた企業はわずか1社しかなかった。企業にはポップアップの設置や運営を自治体に申告する義務がないため、区庁がポップアップを管理したり制裁したりするのが難しい」と訴えた。 韓国政府は廃棄物処理過程を管理する「Allbaroシステム」を開発した。だが、すべての廃棄物が管理対象になるわけではない。 建設現場から出る廃棄物のうち、5トン以上は建設廃棄物として管理されるが、それ未満は生活廃棄物に分類される。前者は「Allbaroシステム」によって管理されるが、後者には関連規定が不十分だ。 通常、ポップアップストア1件の撤去で3トン前後の廃棄物が発生するため、大部分の廃棄物が管理の盲点にある。 これに対し、城東区庁は生活廃棄物に関するガイドラインも作成するよう、今年6月に環境省に意見を提出した。 専門家は、ポップアップストアが一時的な現象ではなく文化として定着していることから、持続可能な運営方法が必要だと指摘する。 資源循環経済研究所のホン・スヨル所長は「ポップアップから取り外した使用済み資材を他のポップアップで再活用できるようにする『循環型ポップアップストアモデル』が必要だ。単にポップアップの廃棄物量を減らそうという一面的な議論から脱却し、全く新しいモデルを適用すべき時が来ている」と助言した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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