トンネル掘削作業を自動化、鹿島が完成させたシステムの効果
鹿島は31日、山岳トンネルの掘削作業の自動施工システムを完成させたと発表した。自社開発した次世代型施工システム「クワッドアクセル・フォー・トンネル」を使い、実坑道の神岡試験坑道(岐阜県飛騨市)で掘削作業の全6工程で自動化・遠隔化を実証した。熟練技能者の経験や勘に頼らずに、省人化や生産性向上を実現する。今後、機能拡充や改良により山岳トンネル工事全体で一層の生産性向上を目指す。 同社は山岳トンネル工事の掘削作業について、穿孔(せんこう)からロックボルトの打設まで六つの工程に分類。使用する重機を一元管理するクワッドアクセル・フォー・トンネルを導入し、全工程で自動化した。 建設業界では「熟練技能者不足」や「低い生産性」が大きな課題となっており、山岳トンネル工事でも、これまでは熟練技能者の「暗黙知」に頼ることが多かった。切羽(掘削面)の発破では通常5―6人の作業者を要するのに対し、掘削作業の自動化・遠隔化により3人程度に減らせるという。 今後、神岡試験坑道で実証した自動化施工技術を掘削以外の工事にも順次導入していく。他の技術も組み合わせることで山岳トンネル工事の安全性や生産性を一段と高めていく考え。