評価真っ二つ。ヘイグは虎の救世主になれるか?
金本新監督が率いる阪神のキーマンの一人が、新外国人であるマット・ヘイグ内野手(30)だ。沖縄県・宜野座キャンプでは、2日目に屋外で初のフリー打撃を披露。ライナー性の打球を軸に、50スイング中、4本の柵越えを放ったが、見守った関係者の評価は真っ二つに分かれた。 クローズドで狭いスタンス。バットを真上に高く掲げて構え、そこからグリップの位置を一度下げてテイクバックを取るためタイミングが合わないとほとんどの打球が詰まる。勇ましい“神主打法”とは裏腹に、こねくり回したような左方向へのゴロが目立つ。カーブマシンを相手にしたバッティングでは、不慣れなこともあって、まさかの空振り。 おまけに打ちに行く際に左肩が開くので、右方向への打球はいいが、インサイドのさばきは窮屈だ。スカウティングレポートには、ローボールヒッターで、対右投手のインコースが欠点とあるが(ほとんどのバッターのインハイの率は低いものだが)そのデータを裏付けるようなスタイルだった。 ある阪神OBは、「左投手しか打てないのかもしれない。あれだけ体が開くとタイミングを崩され右投手にインサイドを攻められたら苦しいだろうね。日本のピッチャーは、そういうところを見つけるとどんどん崩しにくるからね」と語った。 「三塁」のポジションを空けて待っていたマット・マートンの代役が、それでは困る。 それでもテイクバックでヒッチする以外には大きな上下動や前後動はない。打撃フォームの軸もぶれず手元でのバット操作能力が高く器用さがある。本人が「センターから右への打球を意識した」というように、ほとんどの打球がライナー性。 阪神の関係者は、「クラッチヒッター。本塁打ではなく、率、勝負どころでの打点を稼ぐバッターをイメージしている。選球眼もよく、四球率も高い。日本のプロ野球に、そのままはあてはまらないが、セイバーメトリクスの数値は高く、頭がいいので対応ができる」と、ヘイグ獲得理由を説明する。 確かに三振か、本塁打かのタイプではなく、昨季、MVPを獲得したマイナーでは、三振率が10.9パーセントと低く、四球率が10.2パーセントあったのもうなずける。 3Aでの本塁打は11本だったが、低い弾道でフェンスを直撃したものが3本あるなど、パンチ力はマートンより少しだけ上か。東京ドームなど球場によっては本塁打につながる期待感もあり、チェックにかけつけた他球団のスコアラーは、「事前の評判よりパワーがある。長打も打てるかも」と印象を語っていた。