巨人全体練習に訪れた長嶋終身名誉監督（撮影・鈴木正人）

　左手でつくったOKサインが、ミスターからのエールだった。巨人の長嶋茂雄終身名誉監督（88）が20日、東京ドームで行われた全体練習をサプライズ訪問した。 【写真】岡本和真のティー打撃を見る長嶋終身名誉監督 　打撃練習で、岡本和真内野手（27）の振り抜く打球音に耳を傾け、その行方を目で追った。ケージ裏では直接声をかけ、身ぶり手ぶりの熱血指導。すぐに実践し打ち終わった4番に向かって、OKサインを送りながら何度もうなずいた。 　ミスターが練習日で訪問するのは極めて異例。直接、見届けた岡本和に「足を上げてタイミングを取る意識があるので何も問題ないです。継続することですね」とリーグ再開後の活躍に太鼓判を押した。ティー打撃から見守り、声をかけるとマスク越しでも自然と熱を帯びた。そのやりとりを主砲は「本当に貴重ですよね。今年は（東京ドームに）たくさん足を運んでくださっているので、僕らも頑張りたいしすごくありがたい」と感謝した。しっかりとボールを捉え、バットを振り上げ過ぎないスイング軌道を指導された。 　5月26日阪神戦（甲子園）、第4打席に左中間へアーチを描いた岡本和に「それを続けろ」とメッセージを届けていた。4番のバットがチームの勝敗を大きく左右することを誰よりも知るミスター。その翌27日のチーム休養日には、個人的に直接呼び出して素振りを指導したという。「良いもの悪いものというのを、振りながらやってもらいました」と岡本和。交流戦最後を2戦連発で締めくくるなど、復調のきっかけの1つがミスターだった。 　車いすでグラウンドに上がると、ウオーミングアップから見守った。坂本、丸、大城卓らの打撃にも熱視線を送り「丸もいいスイングができているので状態が良さそうです。みんなしっかり振っているし、これから打撃陣の状態はしっかりと上がってくれるでしょう」。首位広島と3ゲーム差の3位でリーグ再開。ミスターのゲキがチームを奮い立たせる。【栗田成芳】 　▽巨人大城卓（長嶋終身名誉監督から打撃の助言を受け）「左手の使い方を教えていただいた。非常に光栄に思いますし、すごい方から指導していただいてうれしく思います」 　▽巨人丸（長嶋終身名誉監督の視察に）「『ナイスバッティング』とかすごい大きな声で声をかけてくださった。そういう機会はなかなかないですし、しっかり1球1球大事に打ちました」