評価真っ二つ。ヘイグは虎の救世主になれるか?
もう一人の大物阪神OBは、「メンチとコンラッドはキャンプ初日のフリー打撃を見た途端にこりゃあかんと思ったものだが、ヘイグは案外といいのかもしれない」と、15試合、打率.148でクビになったケビン・メンチ、24試合、打率.175に終わったブルックス・コンラッドという2人の“ポンコツ外国人”と比較してポジティブな意見。若い阪神OBの中からは「今日のフリー打撃だけで判断すれば、大丈夫なの? という厳しい評価になるだろう。でも、ここから試合に入っていかないと判断はつかないし、昨年は、3Aで打率.338もの数字を残しているのだから実戦でこそ結果を残すタイプなのかもしれないしね」という声もあった。まだ日本の練習スタイルそのものに慣れていないだけで、ヘイグは典型的な実戦タイプなのかもしれない。 阪神で、長年スコアラーを続けて新外国人の成否を見続けてきた三宅博さん(現在、岡山商科大コーチ)は、成功する新外国人の条件をこう語る。 「成功するのは、日本の箸を使えるようになるかどうか(笑)。つまり、対応力。野球IQが、どれくらい高いレベルであるのか、という部分が重要だ。ランディ・バースには、それがあった。ひとつ欠点をみつけると、細かいコントロールや、タイミングを崩して攻めてくるのが、日本の野球。来た球をただ打つというタイプでは成功は難しいだろう。日本式の長い練習時間、オープン戦を含むと2か月間も準備期間があるのは外国人選手にとっては戸惑いだろうし、なおさら環境も含めた日本野球に適応、対応できるかどうかが重要。今の段階で評価を下すのはナンセンス。ただフォーム的には、ゆったりとした間、ヒッチなどの動作が少なく、軸がぶれない、バットコントロールが柔らかいという選手がうまくいくだろう」 箸が使えるかどうかは、面白い判断基準だが、打撃コーチのオマリーも、「彼にとって練習を含めてすべてが新しいこと。毎日が学ぶことの連続だが、やるべきことをちゃんとしているし、非常にクレバーな選手で理解が早い」と太鼓判を押す。 またバットは、メジャーの安打製造機、ロッド・カルーが使っていたものと同じく33インチ半の短いもの。バット操作が柔らかく対応力が高いのも特徴のひとつで、三宅さんの言う成功の条件を満たしていることになる。 一方、三塁の守備については、マイナー時代も評価は高くなく、上から投げず、すべて横からのスローイングになるのも気にかかるが、金本監督はまずは及第点を与えた。阪神の米国スカウトである元広島、阪神でプレーしたシーツも、「守備は不安なし」というレポートを送ってきているという。 「日本式の練習にも徐々に慣れていくよ」 本当の白黒が付き始めるのは、実戦がスタートしてから。賛否真っ二つの分かれている虎の救世主の評価は、今後、どちらに転び始めるのか。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)