なぜ隙のある人は信頼される? 「相手を惹きつける人」の言葉選び
職場や取引先、初対面の相手と良好な人間関係を築くには、どんなことに注意する必要があるでしょうか。アナウンサーの下間都代子さんは、相手に信頼されるには「言葉遣い」が重要だと語ります。本稿では、敬語の使い方や、質問の仕方など、信頼される人になるための具体的なテクニックを紹介します。 人間関係が良くなる8か条 ※本稿は、下間都代子著『「この人なら!」と秒で信頼される声と話し方」(日本実業出版社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
言葉遣いで丁寧な関係を構築する
【敬語の持つ信頼感】 上司と部下、友人や家族など、相手によって言葉遣いが変わることは、社会人であればご存知だろう。とはいえ、その正しい使い方、特に「敬語」については、年齢問わず理解できていない人が結構いる。 私がテレビを見ていて気になっている言葉遣いがこれ。 「いただいてみてください」 例えば、司会者がゲストに対して、名物のお菓子の味見をしてもらうときに言うひと言である。何がおかしいかわかるだろうか? 「いただく」は、謙譲語であり、ゲスト自身が「ではいただきます」と言うならわかる。それを、司会者がゲストに対して言うのはおかしい。本来は尊敬語「お召し上がりください」または丁寧語「お食べください」これが正しい使い方である。 双方ともに敬語の使い方を理解していないなら問題ないだろうが、片方は理解していて、片方は理解できていないとなると問題である。敬語の使い方ができていないことで、相手に対する「信頼感」が薄れることもあるかもしれない。完璧でなくとも「知らないより知っているほうが良い」「できないよりできるほうが良い」。これが私の考え方だ。 友人や家族など親しい関係においては、必ずしも敬語を使う必要はないので、ここでは「知り合い」「取引先」「職場」「初対面」の相手であることを前提に説明する。 このような相手と話すときは、基本的に、相手が年上であろうが年下であろうが、「丁寧語」を使うのが良い。丁寧語の代表は文末の「です」「ます」と、名詞の上につく「お」(「ご」の場合もある)と、動詞の上につく「お」などがある。 なかでも「信頼」されるためにぜひ使いこなしたいのが「動詞の敬語」である。特に本稿では、関係性を深めるための質問力を重要視しているので、【質問するときの敬語】をいくつかご紹介しよう。 ---------------------- ●質問するときの丁寧語と尊敬語 【丁寧語】 【尊敬語】 知っていますか? ご存じでいらっしゃいますか? 好きですか? お好きでいらっしゃいますか? 持っていますか? お持ちでいらっしゃいますか? 気に入りましたか? お気に召していただけましたか? どう思いますか? どのようにお考えになりますか? どうでしょうか? いかがでしょうか? 理解できましたか? ご理解いただけましたでしょうか? ---------------------- このように、質問をするとき、相手に応じて丁寧語、尊敬語を使い分けることで、「自分はこの人に丁寧に扱われている」という印象を与えることができる。それは心地良いものであり、安心感にも繋がるので、「信頼」に直結しやすくなる。 また、【相槌を打つときに、ぜひ使ってもらいたい敬語】があるので紹介しておく。 ---------------------- ●相槌を打つときの丁寧語と尊敬語 【丁寧語】 【尊敬語】 そのとおりです おっしゃるとおりです ---------------------- である。私にとって、この「おっしゃるとおりです」という言葉は日常的に使っているのだが、 あまり馴染みがない、または使い慣れていない人も多いようだ。 ある日、夢実現プロデューサーでベストセラー作家の山﨑拓巳さんにイタンビューしていたときのこと、私が「おっしゃるとおりですね!」と言うと、「わあ、素敵な言葉」と言われた。 自分にとっては当たり前のように使っているし、ビジネスシーンではお馴染みなので意外に思ったが、拓巳さんからすると違ったようだ。確かに、敬語はビジネスマナーとして扱われるが、日常の話し言葉の中でもスマートに使えることによって、ある種、【品格】を醸かもしだすのかもしれない。この品格についても、「信頼」に大きく結び付く考え方があるので続けてご紹介する。