鹿児島県・住用町の元井農園、新かんきつ「津之輝」発送ピーク 島外などへの贈答用に好評
新かんきつ「津之輝(つのかがやき)」は、年内に収穫・出荷ができることから年末の贈答用として需要がある。島内の栽培を技術面でリードする奄美市住用町の元井農園では収穫は終盤、注文を受けての発送はピークを迎えている。今期は色付きが良く糖度も高く、品質の良い例年通りの仕上がりだ。 同農園は国道沿いの下場(平場)にある果樹園(植栽面積約100㌃)で栽培しており、今期の収量は約10㌧を見込む。高温、秋季の雨の多さで裂果や腐敗果が懸念された今期の生産。2Lや3Lサイズといった大玉果実の安定生産へ早期の粗(あら)摘果、果面障害対策で炭酸カルシウム資材の散布に取り組んだ。
園主の元井雄太郎さん(39)によると、水で溶かしての同資材散布は6~9月に連続して実施。果実のコーティングにつながり、果面障害や日焼け果、裂果減少のほか、病害虫やヤガ被害も抑制でき、光合成アップで糖度が上昇し、着色も促進された。 収穫が開始されたのは例年通り12月に入ってからで、2日にスタート。着色状況を確認しながら作業を進め、現在は終盤。収穫後は果皮を乾燥させるため、風通しの良い場所で扇風機も使いながら1週間程度貯蔵する予措(よそ)を経て、園オリジナルの化粧箱に入れて発送している。 元井さんは「8割程度は毎年注文を繰り返す島外のリピーター。店頭(直売所)で味見しておいしさに驚き、購入・注文する島内の新規も増えている」と語り、「12月に入り気温が低下したことで糖がさらに上昇するなど、より品質が良くなっている。現在の時期、ハウスミカン、加温してのデコポンなどが出回っているが、露地栽培でこの食味が提供できるのは津之輝の強み。唯一無二ではないか。ぜひ、多くの皆さんが味わってほしい」と呼び掛ける。果肉のプリプリ感と果汁たっぷりのタンカンに近い食味が特徴だ。 県大島支庁農政普及課によると、津之輝の収穫は上場にある園を除き、ほとんど終了しているという。11月下旬には糖度が12度に達するなど高品質のものが生産されている。