都内唯一のチベット料理店!来日20年、元僧侶で元コンビニ店員の店主が語る故郷の味と文化
「食事だけでなく人が集まる場にしたい」
チベットのことを知ってもらいたいという思いで初めたタシデレだが、経営も手探りで、オープンしてしばらくは綱渡り状態が続いていたのだという。 「オープンしてからは経済的に大変だった。家賃やスタッフの給料も払わないとならないし、ここは人通りが少なくてまだ知名度もなかったからね。タシデレを始めてからは、お坊さんも雇われコンビニ店員も楽だったと思ったね(笑)」。
「でも自画自賛じゃないけど、この店があるからチベットと繋がれる人もいると思う。東京にも仏教のセンターとかがあるけど、一般の人はわざわざ行かないでしょう。 料理だったら、ちょっと食べてみたいとか、面白いと思って店に来てくれるお客さんはいっぱいいるから」。
「食事だけでなく人が集まる場にしたい」という目的通り、週末になると映画上映やライブ、チベット楽器のワークショップやチベット語講座など、チベットのカルチャーセンターのような存在になっている。チベット人との出会いや、チベット圏の旅行好きなお客さんなど、人との交流も盛んだ。 そんなタシデレも、今年の6月に晴れて10年目に入った。 「ここまでやってこれたのは、苦労しながらも努力を積み重ねてきた結果かな。『小さな幸せに執着するなら、大きな幸せを得ることはできない』というチベットのことわざもあるけど、そんな感じ。 店の存在が少しは役に立っていると思うし、これからもやっていくけど、たとえ私がやめても誰かが継いでくれたらいいなと思う」。 ◇ 東京で気軽にチベットを感じられる「タシデレ」。バター茶を飲んでみたいという人も、少しチベットについて話を聞いてみたいという人も、ぜひ一度足を運んでみてはいかがだろうか。
チベットレストラン&カフェ タシデレ
店名の「タシデレ」とは、チベット語で「おめでとうございます」の意味合いを持ち、挨拶の言葉でもある。 住所:東京都新宿区四谷坂町12-18 四谷坂町永谷マンション 1F 営業:11:00~15:00/17:00~22:00、土日・祝は通し営業 定休日:無休(年末年始を除く) 赤澤昂宥=写真 池田裕美=取材・文
OCEANS編集部