ムルシエラゴを破った996 曲線美で魅了する993 伝説の起源にある930 ポルシェ911 ターボ 3台乗り比べ(1)
曲線美で魅了する993型 水冷になった996型
1974年に出現した、ホエールテール・ウイングを背負った930型は、夢に見るような憧れだった。1989年7月まで販売され、交代間際の英国価格は約5万6000ポンド。しかしプレミアが付加され、20万ポンド近い金額で取り引きされたという。 1970年代前後に生まれた、X世代のクルマ好きにとっては、曲線美で魅了する993型の911 ターボも憧れの対象だったはず。最近になって、人気は上昇基調だ。 いかにも911らしいシルエットの内側には、レスポンスの良い小径ターボが、各バンクへ1基づつ載っている。同時期のツインターボ・ポルシェ、959が採用したシーケンシャル・レイアウトとは対照的といえる。 高性能化を突き詰めた993型ターボは、シュツットガルトの技術者へ自主規制を決めた911でもあった。400ps以上の馬力には、四輪駆動が必要だと判断された。この考えは後に改められるが、モンスター級のパワーだと、ポルシェも認めていたのだ。 筆者の場合、個人的には996型がツボだった。他の911と比較すると、見た目の輝きは薄めで、歴代初の水冷エンジンということで、ポルシェ・ファンからの視線はさほど熱くない。それでも中古車価格はお手頃で、われわれに現実的な911 ターボといえる。 走行距離が少し長めで、メルセデス・ベンツ由来のATに絞れば、英国なら3万ポンド(約570万円)以下の予算でも探せる。目的地まで最短時間で到達できたロードカーとして、魅力的な提案だといえる。 この続きは、ポルシェ911 ターボ 3台乗り比べ(2)にて。
リチャード・レーン(執筆) マックス・エドレストン(撮影) 中嶋健治(翻訳)