万博でスシローが未来型店、くら寿司も 1970年万博は元禄寿司が日本の食文化を変革
来年4月の開幕まで300日を切った2025年大阪・関西万博の会場に、スシロー、くら寿司の2大回転ずしが出店する。万博の理念に沿って「未来」「持続可能性の追求」などをうたい、訪日客(インバウンド)にもアピールする。1970(昭和45)年の大阪万博に出店した元禄寿司(大阪府東大阪市)は回転ずしの認知度を日本人の間で高め、外食産業のあり方に変革をもたらした。50年以上経った今、出店される回転ずしは日本の食を海外にアピールする武器となりそうだ。 「スシロー」を運営するフード&ライフカンパニーズが出すことを計画するのは「スシロー未来型万博店」(仮称)だ。 会場中心部の植栽エリア「静けさの森」近くに出す店舗の柱や梁には木材を多用し、外壁の一部に滝の映像が流れるサイネージ(電子看板)を設ける。鏡面仕上げの外壁に周りの人工林が映り、森に溶け込むような外観にするという。 養殖魚を軸としたメニューを予定。水留浩一社長は立地の良さを強みに「日本人だけでなく海外からの来場も見込める」と期待する。2021~22年のドバイ万博での出店経験も生かし、「サステナブル(=持続可能な)にこだわった商品を目指す」と意気込む。 一方、くら寿司が万博で打ち出すのも「未来の回転寿司」と、やはり〝未来〟がキーワードだ。コンセプトは「回転ベルトは世界をひとつに」。大手チェーンで唯一、回転ベルトですしを流すことを戦略として重視する同社は、万博でもこのベルトを用い「これまで(の回転ずし)にない体験を用意する」(担当者)。 回転ずしは今や多くの消費者に親しまれている。民間調査会社の富士経済(東京)によると、24年の国内市場は8261億円の見込み。昨今の訪日需要も追い風に、28年は初の9千億円台と右肩上がりを予測する。 その元祖は大阪で1958年開業した元禄寿司だ。70年大阪万博の会場(同府吹田市)近くに出店するとたちまち人気を博し、回転ずしの認知を一気に広げた。 近畿大学世界経済研究所の有路(ありじ)昌彦教授は「高級品だったすしをファストフードに広げた元禄寿司の存在があったからこそ、市場参入も増えた。外食産業において大きな変革を生み出した」と評価する。