増え続ける「鹿」の課題に向き合う…農家・長谷川純恵さんの選択とは「生まれてきたら、生きる」その覚悟とは
「鹿を殺してしまうのはかわいそう」という言葉への違和感
都内で忙しい日々を過ごしていると、私たち人間が本来自然の一部であることを忘れてしまうことが多いのでは、と純恵さんは言う。 「日本では『自然の恵み』という言葉がありますが、自然は恵みを与えるだけの存在ではありません。『荒ぶる神』という表現もあるように、自然は私たちに時には厳しい影響を及ぼします。台風による被害や野生動物が農作物を食べることもあります。その厳しい自然を乗り越えてきたのは人類の知恵です。しかし、今はその知恵が薄れ、化学的なものでお腹を満たすことが多くなっています。手軽に栄養補給できるサプリメントや飲料に頼ることが増えてきているけれど、自然の摂理に目を向けると、人間がどれだけ自然から切り離された生活を送っているのかを感じますよね」
鹿肉を食べることもアクションのひとつに
「『どう生きるか』という問いが次第に重要でなくなり、『生まれてきたら、生きる』ということが根本にあると感じます。自分の命や食べ物を大切にし、自分で育てることが自然と共に生きることにつながるのではないかと思います」と 、純恵さんは今の率直な思いを語ってくれた。