すぐに観るべき!! 30年ぶりの極上エンタメでよみがえる不適切なほどにあぶない刑事 Netflix映画『ビバリーヒルズ・コップ:アクセル・フォーリー』
30年ぶりのビバリーヒルズ・コップとは
30年ぶりの続編ということもあって、製作陣がストーリーに腐心したことが伺える。まずはデトロイトでのカーチェイスというド派手なオープニング。強盗団の捜査から外された型破り刑事のアクセル・フォリーは独自の捜査で犯人の動きを察知。アイスホッケー場で現金強奪を計画していることを知り、市街地で強盗団のバイクを市の備品である除雪車で追いかけ回す。多数の車をなぎ倒し、パトカーまでぶち壊すという“不適切な”チェイスだ。 核となるビバリーヒルズでの事件は、アクセルの娘ジェーン(テイラー・ペイジ)が命の危険にさらされたことがきっかけ。「あれっ? アクセルに娘がいたっけ」とビックリした。シリーズでは私生活はまったく描かれてこなかったが、実は結婚し、娘をもうけ、その娘は32歳の弁護士になっていた、という設定。捜査官殺しの容疑者の弁護をしているうちに、ナゾの組織に狙われ、立体駐車場からワイヤーのついた状態で突き落とされ、車ごと宙吊り状態になる。 アクセルは娘の窮地を救うために再び、高級住宅街ビバリーヒルズに乗り込み、独自の調査を開始。今は私立探偵になっているビリー・ローズウッド(ジャッジ・ラインホルド)の事務所を尋ねるが、そこはもぬけの殻。アクセルは騒動を巻き起こし、ビバリーヒルズ警察に逮捕されてしまう。署にはかつての相棒ジョン・タガード(ジョン・アシュトン)がいたが、融通のきかない堅物になっていた。ひょんなことから、若い刑事ボビー(ジョセフ・ゴードン=レビット)と相棒を組むが、ボビーは娘の元恋人だった‥‥。 映画は1、2作の雰囲気を継承しながらも、アクセルと疎遠になっていた娘の関係という新たな要素を取り込み、長い時間の隙間を埋めていく。この父と娘の描写が、娘を持つ父としても深く染み入るのだ。ラストに泣けた、と言ったのは、まさにこの部分だ。 シリーズ続投組には、ローズウッドとタカードに加え、オネエ言葉を話すサージ(ブロンソン・ピンチョット)もいる。相棒ボビー役のジョセフ・ゴードン=レビットは『スノーデン』に主演した俳優だ。同じ84年の大ヒット作『フットルース』でおなじみのケビン・ベーコンが悪の親玉である警察幹部ケイドを演じるのも、にくいキャスティングだ。 音楽も気分を盛り上げてくれる。元イーグルスのメンバー、グラン・フライの「ヒート・イズ・オン」、ボビー・シーガーの「シェイクダウン」、ハロルド・フォルターメイヤーのテーマ曲「アクセル・F」など懐かしい曲も散りばめられている。 ローズウッド、タカードはだいぶ年取ったなと思ったが、アクセルは若々しい。マーフィーは1961年4月生まれの63歳。若い時に比べると、体重は10キロ以上増えた印象だが、もはや年齢不詳。アクションシーンもマシンガントークも健在。『あぶない刑事』もまだまだ大暴れしているし、『バッドボーイズ』たちも元気だ。僕も、まだまだ頑張るぞ、と力をもらった。
文 / 平辻哲也