アラフォーから「婦人科系の疾患が見つかる」ケースが急増。"更年期のせい"で片づけないで!日本人医師が警鐘を鳴らす
40歳を過ぎて、今まで感じなかった生理の悩みを抱えるようになったという声は少なくない。「出血が多くなった」「突然生理が来て、1日目から出血が多くて困った」などの不具合を訴える人が多い。「もしかして更年期の兆候なのでは?」と考える人も……。しかし、産婦人科医で丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄医師は、そうとは言い切れないと言う。 【写真】血糖値のコントロールに!「2型糖尿病」の人におすすめの食品20選
40代から婦人科系の疾患が見つかるケースが増加?
「ここ数年、多くのメディアが更年期障害に関する情報を発信するようになりました。もちろん、これはとてもいいことですが、40代以降の不調をすべて更年期による症状と思ってしまう人も多くいます。自己判断で更年期の症状だと思い込んでしまうのは危険です。というのも、40代から婦人科系の疾患が見つかるケースが増加するからです。更年期の生理不順と思って受診したら、子宮筋腫や子宮内膜症、子宮体がんなどが見つかるケースは想像以上に多いのです。特に出血の量が多くなった、突然生理が始まった、不正出血なのか生理なのかわからないという場合は、自己判断で様子をみたり我慢せず、まず婦人科を受診することを強く勧めたいと思います」 疾患がない場合には、生理による不調をケアする選択肢もある。しかし、40代以降とそれまでの世代とでは生理の不調のケアは変わってくるという。 「例えば10~30代までは、生理の不調に低用量ピルを使うのはスタンダードです。一方40代以降の場合、血栓のリスクなどで使用できないケースもあります。ただ、これは40代から初めて低用量ピルを使うというケースであって、今まで低用量ピルを使っていたという人であれば、主治医と相談し使用することは可能だと思います」 また、出血量が多いことの原因によっても処方は変わってくるという。子宮筋腫や子宮内膜症がある場合は、GnRHアナログ製剤などを使用することもある。 「GnRHアナログ製剤はエストロゲンの分泌を制限するので、出血は抑えることができます。一方、更年期に似た症状が出たり、長く使用すると骨粗しょう症のリスクが高まることもあるので、主治医と相談のうえで決める必要があります」 また他には、通称「ミニピル」と呼ばれる黄体ホルモン薬の処方という選択もある。 「ミニピルはエストロゲンを含まない黄体ホルモン(プロゲステロン)だけの薬ですが、低用量ピルと同じようにPMSや生理の出血量を安定させる効果もあり、こちらは40代からでも使用できます。注意点としては、不正出血をするケースもあるので、そのあたりは主治医と相談するのがいいでしょう。また、性感染症や子宮内腔異常、子宮粘膜下筋腫がない人であれば、ミレーナ(黄体ホルモン付加型避妊リング)の装着も可能です。ただ、どの選択も子宮の状態をしっかり診てから決めなくてはなりません。更年期なのかもと早合点せずに、まずは婦人科を受診して、生理の不調の原因はどこにあるのか知ることが大切です」
From Harper's BAZAAR December 2024 Issue