日本ワイン、世界で「メダルラッシュ」 サントリーやマンズワイン…注目の受賞銘柄
連載《なぞときワイン》
国産ブドウ100%で造る「日本ワイン」の海外での評価がうなぎ登りだ。近年、著名な国際ワインコンクールで日本ワインが入賞する例が増えているが、2024年は最高賞の受賞も相次いでいる。日本ワインを海外の有名レストランが採用したり、フランスの名門ワイナリーが日本で生産に乗り出したりする動きもある。高評価の裏には何があるのか。 【写真はこちら】見かけたら買う? サントリーの「登美 甲州 2022」、マンズワインの「ソラリス マニフィカ 2017」をチェック! 2024年5月、山梨県甲斐市の高台に立つ「サントリー登美の丘ワイナリー」を訪ねた。「雲がなければ向こうに富士山が見えるのですが、今日はちょっと残念でしたね」と言いながら、同ワイナリーの栽培技師長、大山弘平さんが出迎えてくれた。それでも眼下の斜面一面にブドウ畑が広がり、その先に甲府盆地を望むパノラマは絶景だ。
■主要コンクールで初の最高賞
同ワイナリーの甲州種から造った白ワイン「登美 甲州 2022」が2024年6月、主要国際ワインコンクールの一つ「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)」で最高位の「Best in Show(ベスト・イン・ショウ)」に輝いた。同賞は通常のコンクールでは最高賞に位置づけられる金賞の二段階上の賞だ。 DWWAは英国のワイン雑誌「デキャンタ―」が2004年から毎年開催している。20年の歴史の中で日本ワインがBest in Showに選ばれたのは初めて。2024年のDWWAには世界中から1万8143本のワインが出品され、Best in Showに選出されたのはわずか50本だった。 「登美 甲州 2022」は2024年、「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティション(IWSC)」でも金賞を受賞した。IWSCは1969年に英国で創設された老舗の国際ワインコンクール。サントリーによると、2024年のIWSCの「ワイン部門」には6000本以上の出品があり、うち約120本に金賞が授与された。
■過去最多の金賞3本のコンクールも
2024年のIWSCではほかに、サッポロビールが長野県産のシラーから造った赤ワイン「グランポレール 安曇野池田シラー2018」と、山形県の高畠ワイナリーが地元産のブドウから造った白ワイン「2022高畠レ・トロワ・シゾー・ド・オオウラ・エン・カミワダ・シャルドネ」も金賞を受賞した。 40年の歴史を持つ英国の「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」では、高畠ワイナリーの「2022高畠ラ・クロチュア・エレクトリック・エン・カミワダ・シャルドネ」「2022高畠レ・トロワ・シゾー・ド・オオウラ・エン・カミワダ・シャルドネ」、山梨県の盛田甲州ワイナリーの「シャンモリGI山梨 甲州2023」の3本が金賞を獲得。IWCによると、日本ワインの金賞3本というのは過去最多だ。