日豪EPA合意 「EPA」「FTA」「TPP」の違いって何?
オーストラリアとのEPA(経済連携協定)が2007年から7年越しの交渉を経て、4月7日に決着しました。日本はオーストラリア産の牛肉にかける関税を現行の38.5%から段階的に引き下げることで合意。冷凍牛肉は18年かけて19.5%、冷蔵牛肉は15年かけて23.5%とするほか、ナチュラルチーズの一定枠や飼料用の小麦を無税にし、ブルーチーズの関税も10年かけて20%引き下げます。 【図表】牛肉輸入量の4割を占めるオーストラリア オーストラリアは中型・小型の日本車と機械類・家電製品の関税を即時撤廃し、大型車の関税も3年かけてなくすことに決定しました。鉄鋼の関税も5年以内に撤廃します。
日豪EPAの効果は?
日豪EPAは日本とオーストラリアの連携をより緊密なものにするだけでなく、オージービーフの日本への輸出が増えれば、相対的にアメリカビーフのシェアは減るため、長引くTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉でアメリカに譲歩を促すひとつの材料になることも期待されています。 さて、海外との貿易協定ではEPAやTPPのほかにFTA(自由貿易協定)という言い方もよく目にします。どれも貿易に関係する3文字の英語略称で混乱しやすいため、どんな関係があるのか、整理してみましょう。
GATTが発展的解消してWTOに
第二次大戦後、西側諸国は貿易を自由化して経済を活発にするため、1948年にGATT(関税貿易一般協定)を発足させました。GATTは東西冷戦の終結後、発展的に解消されて、1995年にWTO(世界貿易機関)が設立され、自由貿易振興の中心的機関となりました。 しかし、加盟国の増加とともに先進国と新興国や開発途上国の利害対立が目立ち、2001年に始まったドーハ・ラウンド(新多角的貿易交渉)は暗礁に乗り上げて、現在に至っています。現在の加盟国・地域は計159。すべての加盟国の了解を得て意思決定を行う方式なので、もはや合意は不可能に近く、サミットでG8がWTO尊重の言明を出すことなどはあっても、儀礼的なものに過ぎなくなっています。