ハラスメント(12月23日)
「ハラスメント」は日本語としてすっかり定着した感がある。改めて「harassment」を英和辞典で引けば「苦しませること」「迷惑」とある▼客が従業員に無理難題を押しつければ「カスハラ」、香りが強すぎれば「スメハラ」、年齢をあれこれ言えば「エイハラ」、相手の性別を理由にすれば「ジェンハラ」…。セクハラやパワハラだけでなく、ハラスメントは今や日常の隅々にひそむ。時代にそぐわない不適切な言動が人間関係を壊し、会社や社会の信用を崩す▼職場や学校をはじめ、さまざまな場面で問題は深刻化している。厚生労働省の調査によると、「職場でパワハラを受けたことがある」と6割が回答した。セクハラは4割、カスハラは3割が経験したことがあるという。国は12月を職場のハラスメント撲滅月間に定める。県労働委員会は出前講座を展開し、啓発の取り組みを強めている▼「昔はもっとおおらかだった」「いちいち目くじらを立てなくても」…。そんな言い分はとっくに通用しない。「無知」と「無自覚」が問題を引き起こすと、肝に銘じなければ。周囲に不快な思いをさせていまいか。自らを省みる。「ふてほど」を越年させぬよう。<2024・12・23>