ブンデス1部で初の女性コーチがU・ベルリンで“監督デビュー”。物議を醸す心無い投稿も...【現地発コラム】
ドイツ代表FWの代理人が「嘲笑をもたらさないでくれ」
受講することが極めて困難なプロコーチライセンス(UEFA-S級相当)もすでに所得している。プロコーチライセンス講習ではプロクラブでの研修が義務付けられるが、当時エタが研修先に選び、受け入れてもらえたのがウニオンだった。トップチームのウルス・フィッシャー前監督のもと、実りある研修を受けていたエタが、ウニオンに加入したのは23年7月。U-19アシスタントコーチがそのポストだった。 フィッシャー監督の辞任後、暫定監督を務めたU-19監督マルコ・グローテのアシスタントコーチとしてトップチームへ入閣。ビェルツァ新監督がきてからもアシスタントコーチとして残っている。 ウニオン会長ディルク・ツィングラーが「『女性をアシスタントコーチに』と意識してされた決断ではない。彼女は私にとって育成された指導者だ。チームで確かな仕事をしている指導者が女性だったということであり、その仕事ぶりを評価しての決断だ」とコメントしているように、コミュニケーション、コーチング能力の高さが純粋に評価されての人事だ。 だが、「ブンデスリーガ初の1部リーグにおける女子コーチの誕生」というニュース性だけが一人走りして、様々な捉えられ方をされてしまった。 そんななか、ドイツ代表歴もあるブレントフォードのFWケビン・シャーデの代理人マイク・バルテルが、自身のXで「アシスタントコーチというのはチームの控室にもいなければならないんだろ?ドイツサッカーにさらなる嘲笑をもたらさないでくれ。チームにおけるヒエラルヒーを完全に破壊する行為だ」と心無い投稿をしたことが大きな物議をかもしたりもした。 ただ、これにはシャーデ自身が鋭く反応。「彼の行ないと考え方に全く同意することができないし、放っておくことはできない。僕は公平さ、公正さ、多様さを重んじるし、そのためにできることをし続けたいと思っている」という趣旨のコメントと共に、代理人契約の破棄を決断すると、SNSでは称賛の声が数多く寄せられていた。 かつてはロベルト・レバンドフスキの代理人も務めていたバルテルは慌てて弁明をしたが時すでに遅しだった。 ダルムシュタット戦を1-0で辛勝した後、エタは「イメージしていたパフォーマンスをもたらしてくれてうれしい。選手がホームで勝利を手にしたことをとても幸せに思う」と喜び、「非常にあわただしかった時間が合った後、この勝点3は大きい。解放に導く勝利になるかもしれない」と笑顔で締めくくっていたのが印象深い。 世間の狂騒に振り回されることなく、指導者として充実したキャリアを歩むことを願いたいものだ。 取材・文●中野吉之伴
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