医師が警告する「乳幼児期に言うことを聞かせすぎる」危険性
みなさんには子どものことを全部受けとめられるお父さんお母さんであってほしいと願っています。親がわが子に「こうあってほしい」「こんな人間に育ってほしい」と願うのは当たり前ですし、愛しているからこその願いでしょう。 しかし、その期待が強すぎると、子どもはそれを重圧に感じて息苦しくなってしまいます。小さいときから、聞き分けのいい子でいなさいとか、お稽古事や勉強がよくできるようになりなさいと、自分の希望を伝えすぎていませんか? そして、希望どおりにならないと、「どうしてできないの!」と責めたり、「お母さんのいうことが聞けないの!」などと、頭ごなしに叱ったりしていませんか? 子どもはお父さんお母さんが大好きですから、その期待にこたえようと本当はがんばっているのです。がんばっているのに、そんなふうにいわれたらどう思いますか? 「自分はダメな子だ」「お父さんお母さんはわたしのことがきらいなんだ」と自分を否定したり、親に見捨てられたという感情を強くもってしまうでしょう。
子どもはいつだって、親の期待にこたえようとがんばっている。
子どもが思いどおりにならないと、ついイライラしてしまいがちですが、子どもは子どもなりに一生懸命がんばっているのだということを、認めてあげてほしいと思います。それを否定して、「親に見捨てられる」と思わせてしまうことは、本当に危険です。 子どものいうことを聞いてあげる、要求を満たしてあげる、できないことを指摘するより、できていることを見つけて「がんばってるね」といって応援してあげる。こうして育てていくのがいいのですね。 思春期以降の精神的な危機の問題は、その最初のステップである乳幼児期に親のいうことを聞かせすぎた結果であることが多いのです。あるいは子どものいうことを聞いてあげながら育児をすることが不足した結果だといってもいいでしょう。 子どもに期待を寄せることよりも、今がんばっていること、できていることを見つけて、「よくがんばってるね」と認めてあげてほしいと思います。 【まとめ】「こうしなさい」ではなく、「がんばってるね」とたくさん応援してあげましょう。
佐々木正美