【NBA】48分間レイカーズを圧倒して134-93の大勝を収めたヒート「良いシュートが次の良いシュートに繋がる連鎖だ」
「プレーしていて最高に気持ちの良い瞬間だよ」
レイカーズは開幕から1カ月は好調だったが、その後に失速。ここ8試合で6敗を喫している。現地12月4日のヒート戦は、その不振が極まるパフォーマンスの末に93-134と大差で敗れた。指揮官JJ・レディックは試合後、「正しいプロ意識を持っているとは思えない戦いぶりだった」と力なく語った。レブロン・ジェームズは「コーチのせいじゃない。それは僕らの責任だ」と、アンソニー・デイビスは「選手が悪いプレーをしているからボロ負けしている」と淡々と話した。 チームの団結力は感じられず、コミュニケーションを取る様子もない。ただヒートに圧倒されるだけの48分間だった。スター選手を擁する人気チームの不甲斐ない負け方に、メディアもファンもパニックに陥っている。ただ、一つ忘れられている要素がある。ヒートの出来があまりにも素晴らしかったことだ。 今シーズンのヒートは勝ったり負けたりとパフォーマンスが安定せず、このレイカーズ戦に勝ってようやく10勝10敗の5割。それでも右膝の痛みを抱えてプレーしていたジミー・バトラーが2日前のセルティックス戦の遠征に帯同せず休養にあてたことでコンディションを取り戻し、チームを引っ張った。開幕からずっとシュートタッチに苦しんでいたバム・アデバヨも、この試合ではテンポ良くパスが回るオフェンスに乗せられてフィールドゴール8本中6本成功と好調。アデバヨに限らずどの選手も、チームが作り出すリズムに乗り、気持ち良くシュートを放っては決めていった。 アデバヨはこう語る。「全員の息が合っていた。お互いにやろうとすることを理解し合って、ヒートらしい素晴らしいバスケができた。これを今日だけで終わらせたくない。これからも続けていきたい」 そしてセカンドユニットも、先発陣の作り出す良い流れを上手く引き継いだ。テリー・ロジアーは18得点、ケビン・ラブはオールラウンドな能力を発揮して10得点5アシストと活躍した。「ボールをシェアして一番良いシュートチャンスを作る。それが最初から最後までやれたね」とロジアーは言う。「先発陣が良いトーンを作ってくれて、僕たちはそのペースに合わせるだけだった。良いシュートが次の良いシュートに繋がる連鎖だ。プレーしていて最高に気持ちの良い瞬間だよ」 タイラー・ヒーローは前半こそ唯一レイカーズのディフェンスに阻まれた選手だったが、その『連鎖』が繋がった第3クォーターに3ポイントシュートを8本放って7本を決めて21得点を挙げ、早々に試合に決着を付けた。「自然とそうなった、としか言えないね。前半と同じシュートを打って、それが決まった。僕としては自分を信じて打ち続けただけなんだ」とヒーローは言う。 もっとスタッツを伸ばすこともできただろうが、ヒーローの3ポイントシュート爆発により第3クォーター終了時点で105-72と33点差で、第4クォーターはスタメンの5人は誰もプレーしなかった。「毎回こうはいかない。前の試合では10本中2本成功だし、今日だって前半は8本打って2本しか決めていない。今日は試合を通してずっとオープンだったから、前半にあと何本か決めておくべきだったね」とヒーローは笑う。 「でも、今日はすべてが上手く回った。僕はほとんどリムを攻めていないけど、スペースを生かして3ポイントシュートを決め続けた。そうすればディフェンスが広がり、今度はジミーの活躍に繋がる」 指揮官エリック・スポールストラもこの日は上機嫌だった。「ボールが動いてシュートが決まっていたが、それぞれの選手がチームの誰かがオープンショットを打てるようにスクリーンをセットしたり、エクストラパスを出したり、そういう動きを欠かさなかったのが良かった。個人能力で奪った得点はほとんどなく、全員がチームプレーを理解しようと試み、それが上手くいった」 開幕からなかなか噛み合わなかったヒートだが、落ち着いて自分たちのやるべきバスケに向き合った結果、素晴らしいバスケを展開した。今レイカーズに求められているのは、ヒートの姿勢を学び、自分たちに取り入れることだろう。