2年連続最下位だったとは思えない…日ハム・新庄監督、これまでとの「決定的な違い」
「なんか、打たれそう」が当たる
3、4月を14勝9敗1分けと好スタートを切り、交流戦までに貯金を7つまで増やした新庄日ハム。さらに交流戦でも古巣・阪神に2連勝。この快進撃は、新庄剛志監督の手腕なしでは語れない。 【写真】いったいなぜ…周囲が騒然となった新庄監督「まさかの着こなし」 誰にもマネできないチーム統率、采配ぶりを球団OBの金村暁氏が解説する。 「5月頭から毎試合のように1番が違うんです。しかも、初回の攻撃は大事だと思うんですけど、そこに調子の悪い選手を入れたりする。万波中正も『これはどう見ても状態が悪いな』というときに1番で使ったことがありました。でも、すると、その試合で打って、そこから調子を上げていった。 今季は下位打線の出塁が増えて、大事なチャンスで1番に回ることが多いので、そこがキーにもなりやすい。その1番を新庄監督が勘を働かせて選手を使い分け、それが次々とハマる。阪神との初戦の水谷もそうでしたよね」 投手継投に関しても、新庄監督の勘が冴えわたっているようだ。 「昨季まではコーチの提案を尊重していたのですが、今季から新庄監督みずからが誰に交代するかを決めるようになったそうです。そこも結果が出ている。なんでも昨季も新庄監督が『ピッチャー代えよう。なんか、打たれそう』と言って、コーチが『このあとのこともあるので、もうちょっと引っ張りたいです』と返して続投させると、ホームランを打たれたりということが結構あったそうです。 打順のこともそうですが、やはりなにかイメージが湧くんでしょうね。他の人とは違う感性があるんだと思います」
新庄監督が見抜いた、山﨑福也の本当の力
もちろん、勘やただの思いつきで、なんでも決めているわけではない。選手一人ひとりの特性を把握し、気持ちも推し測り、能力を最大限に引き出している。過去2年の監督経験も活きているのだろう。 「FAで獲得した山﨑福也は、オリックスでは6イニングくらいで必ずと言っていいほど交代させられていたんです。リリーフ陣がしっかりしているというのもありますが、中嶋聡監督の中では3巡目あたりで捕まる印象が強く残っていたんでしょうね。 でも、先発投手なら誰だって完投したいんです。本人も『なぜ代えられるのか』というときもあったはず。それが今季はすでに2度、完投している。 中継ぎでは、杉浦稔大は怪我が多いので負担がかからないようにしていますが、チーム1番の登板数のマーフィーはタフなので多少の無理使いが利く。河野竜生も先発をやりたい気持ちもあったのですが昨季から自分でもリリーフ適性を見出して、もう完全にリリーバーとしての自信をつかんでいますね。 日替わり打線の中にあって、休んだ1試合以外はすべて4番のマルティネスも一時は打率0割台という不調の時期もありましたが、新庄監督は打順を変えることをしなかった。昨季もそうでしたが、チャンスにめっぽう強い彼のストロングポイントを十分に生かしたいんだと思います」 新庄監督が目指す野球が、選手にも浸透してきた。攻撃面でリーグトップなのは盗塁。失敗も少なくないが、積極的に動いて相手にプレッシャーをかけている。 「盗塁をする選手はチームの中で数人くらいというのが一般的ですけど、日ハムで盗塁を成功した選手の数は13人もいて、これもリーグ最多です。攻撃面では今季もフォース・ボークを1度、成功させていますが、キャンプから他のチームがあまりやらないような細かい練習をしています。 投手で言えば、『フォアボールを出すんだったらホームランを打たれてくれ』と伝えているほど、フォアボールが嫌い。実際、ここまで被本塁打はいちばん多いですが、与えたフォアボールはリーグ最少です。また、今季からは建山義紀投手コーチが『初球はストライクを取ろう』というテーマを掲げている」 選手の守り方も、今の時代に即している。