2年連続最下位だったとは思えない…日ハム・新庄監督、これまでとの「決定的な違い」
SNSを駆使して選手を守る
5月12日の試合では不可解なプレーが起きた。2点を追う9回裏、郡司の安打とマルティネスの3塁打で1点差に迫ると、3塁走者の代走に俊足・五十幡亮汰が送られる。続く田宮の打球はセカンドへと転がった。 「足の速い五十幡だったら楽に生還できるゴロでした。ところが、五十幡はスタートを切らなかったんです。普通ならギャンブルスタートやゴロゴーのサインが出る場面。これは五十幡のボーンヘッドだと思いました。ファンも『なにをやっているんだ』と思ったはずです。新庄監督も座っている椅子からずり下がっていた。サヨナラ勝ちしたものの、批判の的になってもおかしくないプレーでした」 ところが、試合後、新庄監督は自身のインスタグラムで動画を添えながら、 〈僕がゴロはストップの指示を出したから五十幡君は何も悪くない‼ 僕のリアクションはホームに帰って来れるゴロを打つんか~い のリアクション‼〉 と、すぐに火の気が上がるのを阻止したのだ。 「選手もそういうのを目にしますから、信頼、安心してプレーできますよね。でも、なぜゴロストップだったのか。正直わかりません。五十幡をかばうための可能性もあるのかなとも思いますが、思い切りのいい選手なので、それも考えにくいんですよね。やはり、なにかイメージが湧いたのでしょうか」
戦力はさらに上がる
新庄監督のサインに選手も迷いなく、結果に臆することなくプレーができる。そうして昨季からガラリと改善されたのが、1点差ゲームの勝敗だ。17勝31敗で勝率.354だったものが、11勝6敗の勝率.647に跳ね上がっている。 「昨季は、序盤に得点しても、そこから点が入らずに負けるという試合が多かったんですが、今季は相手の勝ちパターンの投手からでも点が取れるようになっている。 それはやっぱり経験が生きているんだと思います。昨季は格上の投手が来たらシュンとなっていたんですが、そういうクラスの投手との対戦は打席に立つだけですごく経験値が上がる。それが積み重なって対応できる本当の力がついてきたんです」 開幕カードでのロッテの益田直也を皮切りに、ソフトバンク・オスナ、5月24日にも開幕から無失点だった楽天・則本昂大といった名だたるクローザーからも得点を奪える打線となり、投打もがっちりと噛み合っている。 今後の展望についても、「不安な点は浮かばない」と金村氏も期待する。 「今季は1点差の勝率だけでなく、主に伊藤大海と山﨑が担ってきたカード頭の勝率も驚異的なんです。火曜日は6勝2敗で、金曜日は7勝1敗1分け。当然、初戦を取れれば、カード勝ち越しへの戦い方がしやすくなります。池田も実戦形式の打撃練習で投げたように、もう少しで戻ってくるでしょう。 選手個々を見たらソフトバンクは確かにすごいんですけど、日ハムも若い選手が多いので勢いがありますし、雰囲気もいい。新庄監督はやることなすことすべてがうまくいっている。チーム一体でぶつかっていって、ソフトバンクの上を行ってほしいです」 新庄監督が撒いた種は、確実に花開いてきている。 (記録は6月1日現在) 【つづきを読む】『OBも「怖くてできない」と驚愕…日ハム・新庄監督の采配には、昨季との「大きな違い」があった! 』
週刊現代(講談社)/鷲崎文彦