また一つ”夢のアリーナ”完成 船橋の「ららアリーナ」から見る思惑と期待
商業施設×スポーツで事業力・収益力アップに繋げたい三井不動産
一方で、新たな取り組みとして熱が入るのが三井不動産だ。オフィスビル、ホテル、リゾートなどの開発、運営であったり、ミッドタウン、ららぽーとなどといった大型商業施設を数多く手がけている。中でも、近年はスポーツを生かした事業に力を入れている。 ららぽーとでスポーツイベントや3x3(3人制)バスケの大会を開いたりするなどし、ららぽーとへの集客と滞留を図っている。そして、2021年には東京ドームをTOB(株式公開買い付け)で買収して子会社化。大型スポーツ施設を手にしたことで、自前でのスポーツエンターテインメントビジネスへの関わりを本格化させている。今回の「ららアリーナ東京ベイ」は、三井不動産にとって初めてイチから作った本格的な大規模アリーナ。運営に関してはMIXIがメインである合弁会社TOKYO-BAYアリーナマネジメントで行っていくことになる。今後は「東京ドームの興行ビジネスで培ったブッキングやマネジメントの経験を、ららアリーナ東京ベイでもいかしていく。人材交流も行っていく」(三井不動産・肥田雅和執行役員)という。 千葉ジェッツのリーグ戦だけでなく、既にMr.Childrenのコンサート、アイススケートのショー、サッカー元日本代表・本田圭佑が主催する4人制の大会といったイベントも続々と決まっている。 三井不動産にとって新規事業の部類であり、期待のかかるプロジェクトでもある。「ららアリーナを訪れた来場者が隣接するららぽーとにも足を運んでもらうような仕掛け作り、相互送客を取り組んでいきたい」(三井不動産・肥田雅和執行役員) 2024年3月期の三井不動産グループの決算資料によると、連結営業収益が約2.3兆円で、そのうち施設営業は8%ほど。さらにその内訳を見るとスポーツ・エンターテインメントは28%(ホテル・リゾートが72%)。単純計算だと約515億円となる。割合としてはまだまだ同社にとっては小さいが、今回の様なアリーナで施設営業の収益が多く見込めるであろうし、ららアリーナを生かしてららぽーととの相乗効果も期待できるだろう。隣接するアリーナが、大型商業施設への集客や売り上げにどれほど貢献するのか、三井不動産にとっては重要な実験の場と見ているだろう。もしここで成功を収められれば、同様のパッケージを今後、三井不動産が持つ他の大型商業施設でも検討していくかもしれない。