秋空に唯一の一等星「フォーマルハウト」を手掛かりに美少年の星座を探そう
暦が12月に入ってから、夜はすっかり冷え込むようになりました。冬至に向かって昼間が短くなりますが長い夜こそ、星空観察の絶好の機会ではないでしょうか。 季節は冬でもまだ星空には秋の星たちが輝いています。星にも明るさの違いがあることはご存じだと思います。明るい星が少ない秋の空ですが、その中で一番明るい一等星は、街中からも簡単に見つけることができます。秋の星座には、一等星が1つしかありません。その唯一の星を見つけてみませんか?
ぽつんと輝く秋のひとつ星
南の空低いところに明るい星が見つかれば、それが一等星「フォーマルハウト」かもしれません。正しいかどうかは、秋の四辺形から確かめてみましょう。南の方を向いて、秋の四辺形の右側(西側)2つの星を上から下にそのまま伸ばすと、フォーマルハウトが見つかります。 フォーマルハウトは「魚の口」の意味があり、その名のとおりそこには「みなみのうお座」という魚の星座があります。実はこの星座、お誕生日の星座である「みずがめ座」とつながって描かれています。 みずがめ座は明るい星がほとんどなく、街中では見つけることはできませんが、フォーマルハウトのおかげで街中からでもあの辺りにあるんだなぁとイメージできます。空がかなり暗い場所に行けば、みずがめ座の姿をたどることができるかも知れません。目印は、ペガスス座の頭の下にあるアルファベットの「Y」をつぶしたような星の並びです。三ツ矢のマークというとわかりやすい方も多いかもしれませんね。そこからフォーマルハウトまで水が流れていると思いながら、星をたどってみてください。その先で、みなみのうお座が大きな口を開いて、その水を飲んでいます。 秋のひとつ星「フォーマルハウト」を見つけたら、みなみのうお座とみずがめ座をセットで眺めてみてください。
みずがめ座はイケメン男子
みずがめ座に描かれた少年は、ギリシア神話ではトロイア王の子ども「ガニュメデス」と伝えられています。ガニュメデスはとても美しい少年で、大神ゼウスも目をつけていました。ある日、ガニュメデスが羊の番をしていたところに、大きな鷲が現れ、ガニュメデスを連れ去ってしまいました。ガニュメデスが連れて来られた場所は、オリンポスの宮殿。この宮殿では、毎夜、神々の宴会が開かれていました。 大神ゼウスは、美少年にお酒を注いでもらえば、よりお酒も美味しいことだろうと、ガニュメデスを連れてきたのです。そして、いつまでもお酌をしてもらうかわりに、永遠の美と命を約束しました。こうしてガニュメデスは、神々にも気に入られ、オリンポスの宮殿のお酌係として、暮らすことになったのです。 このお話を聞いたあとに、星座の絵を見てみると、みずがめ座のガニュメデスが持つ甕(かめ)から流れ出ているのがお酒に見えてきて、みなみのうお座がお酒を飲みすぎて酔っ払ってひっくり返っているように感じますね。