AI市場は9兆ドル規模--「State of AI Report 2024」が示す現状と今後の展開
人工知能(AI)の市場規模は約9兆ドルに達しているが、企業はまだその可能性を探り始めたばかりだ。その先頭に立つAIチップメーカーNVIDIAとモデルメーカーOpenAIが、最終的にAI分野で競い合うことになる。 AI分野の投資家Nathan Benaich氏とAir Street Capitalのプラットフォームリードを務めるAlex Chalmers氏が共同執筆した最新のレポート「State of AI Report 2024」では、AIの現状に関する見解と今後の展開についての予測が詳述されている。 両氏はAIのこれからの1年について、以下のように予測した。 「コーディングスキルを持たない人だけで作成したアプリやウェブサイトが話題を集める(例:『App Store』のトップ100にランクイン)」 「訴訟の審理が始まった後に、最先端の研究所がデータ収集慣行に関する有意義な変更を実施する」 「『OpenAI o1』のオープンソースの代替モデルが、さまざまな推論ベンチマークでOpenAI o1を上回る」 「市場での地位を確立したNVIDIAに、競合企業は有効打を与えることができない」 「AppleがオンデバイスAIの研究で優れた成果を上げ、個人向けオンデバイスAIの勢いが強まる」 Benaich氏が過去のレポートで示した予測は、おおむね的中していた。外れた予測の1つは、「生成AIのスケーリングが過熱し、1つのグループが1つの大規模モデルの訓練に10億ドル以上を費やすようになる」というものだ。これはまだ実現しておらず、両氏はそれを認めているが、「もう1年待ってみよう」としている。 他にも、「推論のワークロードとコストが大幅に増加する中で、大手AI企業(OpenAIなど)が推論中心のAIチップ企業を買収または設立する」と予測していた。両氏は次のように指摘している。「Sam Altman氏がそのために巨額の資金を調達しているとの報道があり、Google、Amazon、Meta、Microsoftの各社は独自のAIシリコンの構築と改善を続けている」