AI市場は9兆ドル規模--「State of AI Report 2024」が示す現状と今後の展開
両氏は企業内でのAI導入の状況にも言及し、「企業の自動化に、AIファーストのアップグレードが施されることになる」と記している。これには、AIで強化されたロボティックプロセスオートメーション(RPA)が含まれる。 「UiPathに代表される従来のRPAには、セットアップコストの高さ、実行の不安定さ、メンテナンスの煩わしさという問題があった」と両氏。「『FlowMind』(JPMorgan)と『ECLAIR』(スタンフォード大学)という2つの新しいアプローチは、基礎モデルを使用してこれらの問題に対処している」 例えば、「FlowMindはワークフローの理解において99.5%の精度を達成した」と両氏は説明する。一方、「ECLAIRはより幅広いアプローチを採用しており、マルチモーダルモデルを使用してデモンストレーションから学習し、さまざまな企業環境でグラフィカルユーザーインターフェースと直接やりとりする。ウェブナビゲーションタスクでは、ECLAIRの完了率が0%から40%に向上した」 Benaich氏とChalmers氏は、最大手のAIチップメーカーであるNVIDIAに多大な関心を寄せ、「依然として世界で最も強大な企業であり、時価総額3兆ドル超え企業に名を連ねている」とした。「NVIDIAは、新しいGPUファミリー『Blackwell』の予約注文をすでに大量に受けており、各国政府に対して強くアピールしている。同社の野心は大きくなるばかりだ」 同じくAI分野の巨人であるOpenAIについても、同レポートで大きく取り上げられた。「OpenAIの恐怖政治は終わりを迎えていたが、『Strawberry』(o1の開発コード名)の登場で、推論コンピューティングのスケーリングに力を入れるようになった」。Benaich氏とChalmers氏はOpenAIの最新モデルに言及してこのように記している。「計画と推論が主要なフロンティアとして注目される中で、OpenAIはo1の発表後も優位を維持している」 AIコンピューティングを「事前訓練と事後訓練から推論へ」移行させることで、「o1は複雑なプロンプトを思考連鎖(COT)法で段階的に推論し、強化学習(RL)によって、COTと使用する戦略を洗練させていく」と両氏は付け加えた。「これにより、多層的な数学、科学、コーディングの問題を解決する可能性が開かれる。大規模言語モデル(LLM)は従来、次のトークン予測に固有の制限が原因で、それらの問題に苦労してきた」 AI市場は現時点で巨大だ。両氏はAI企業の価値を9兆ドルと推定し、「民間企業の投資は健全に成長している」とした。スタートアップは「動画生成や音声生成などの分野で勢いを増し始めている」という。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。