あれやこれやのZOZO6年間 日本唯一のPGAツアーを振り返る
◇日米ツアー共催◇ZOZOチャンピオンシップ 最終日(27日)◇アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉)◇7079yd(パー70)◇晴れ(観衆1万1062人) 【画像】第1回大会の優勝者はあのタイガー・ウッズです 全ての選手がスタートを切り、ひと息つこうとした頃、大会運営スタッフのインカムに報告が入った。「グリーンで、親子連れがピンフラッグを持って記念撮影をしています!」。練習場や、空きスペースでのことではない。つい先ほどまで、プロゴルファーがパッティングをしていた1番ホールのグリーン上だった。今から5年前、「ZOZOチャンピオンシップ」の第1回大会の一コマだ。 2019年に日本で初めて行われたPGAツアーの公式競技はゴルフ関係者にとって、そんな驚きの連続で始まった。記念すべき初回大会で優勝したのはタイガー・ウッズ。サム・スニードに並ぶツアー最多の82勝目を飾った舞台の裏では、記録的豪雨に見舞われたコースの懸命な復旧作業があったことを忘れてはならない。無観客開催の1日があったにもかかわらず、試合期間中の来場者数は4万3777人(練習日を含むと5万4840人)を記録した。
新型コロナウイルスの蔓延により米カリフォルニア州で開催した2020年を経て、再び日本に戻った21年大会は混迷を極めた。コロナ禍の世界は続き、国内では8月の「東京五輪」を除けばあらゆる国際的な興行が中止になる中、大会は来場者を1日5000人に制限、マスク着用を義務付けて断行した。 チャーター機による出国前後の検査はもちろんのこと、“バブル”内の行動が徹底された選手・関係者用のホテルでは、部屋の行き来が自由にできないよう、エレベーターのボタンを押すためのスタッフまで配置した。 未曾有の混乱期に懸命に抗った日々は、その年の「マスターズ」を制した松山英樹の凱旋優勝に昇華する。
世界基準と言えるコースセッティング、スタンドやホスピタリティテントの規模の違いは、国内でプレーする選手にとっては目新しいものばかり。来場者のみならず、出場選手たちへの“もてなし”でも心を尽くすのがPGAツアーであり、大会が目指したものだ。米国を主戦場にしてきた松山、小平智にとっては“常識”かもしれないが、6年連続で出場した今平周吾は、ZOZOの魅力のひとつに「朝ごはんがおいしい」ことを挙げた。 ブッフェ形式の選手レストランには、日本での試合ではなかなかお目にかかれないほど多くのメニューが並んだ。初回大会こそ欧米選手の舌を満足させるべく洋食ばかりを並べたが、2021年大会からはメニューに日本食が増えた。せっかく来日した外国人選手からの希望があったからだ。 26歳のサヒス・ティーガラは22年の初出場から3回続けてZOZOでプレー。「ツアーでナンバーワンのダイニングだ」と言い、中トロ、サーモンと毎日のように寿司を平らげた。朝食ではホカホカごはんに醤油をかけ、スクランブルエッグを乗せる一風変わった卵かけご飯が、近年の外国人選手の間でちょっとしたブームになった。