あれやこれやのZOZO6年間 日本唯一のPGAツアーを振り返る
6年契約の最終年。ZOZOは今大会でタイトルスポンサーから降りる。関係者によると、PGAツアーは2025年以降も秋季シリーズでの日本開催を目指しているが、歴代チャンピオンに恵まれた、異質の大会はいったん一区切り。 初回から、トーナメントディレクターとして尽力したZOZOの畠山恩(はたけやま・めぐみ)さん。毎年夏場にかけて渡米し、試合会場でウッズやロリー・マキロイ(北アイルランド)、ザンダー・シャウフェレやリッキー・ファウラーといった人気選手に出場ラブコールを送り続けた人だ。社内外のあらゆる部署との折衝では、日米それぞれの常識のすり合わせにも多くの時間を割いた。PGAツアーの常識をただ飲み込むのではない。銃社会でもなく、クルマ社会でもない日本に、本場のプロゴルフをいかに溶け込ませるかに苦心した。 それは、はたから見ていても“おもてなし”という言葉で表せる範疇を優に超えていた。大会が残してきたものについて、畠山さんは少なからず胸を張る。「最初の大会の“グリーンでの記念撮影”は笑い話ですけど、逆に言えば、それまで日本でゴルフ観戦をしたことがないお客様にも多く来ていただいたことの裏返しでもあると思う」。ゴルフは“上級者”だけのものではない。世界最高峰のプロゴルフ観戦の敷居は、ある意味では国内のどの試合よりも低かった。
「大人の皆さんの目がキラキラして、色んな選手を純粋に追いかけている姿を見ていると、『頑張って良かったなと思う』と、いつもうれしくなった」。日曜日。バックヤードで行われた朝礼で、畠山さんはあいさつから感極まって泣いた。この日の来場者は1万1062人、練習日を含む5日間で3万7069人のギャラリーが、最後のZOZOを堪能した。(千葉県印西市/桂川洋一)
桂川洋一