柳楽優弥&坂東龍汰の確かな演技力に脱帽…気になる初回の評価は? ドラマ『ライオンの隠れ家』第1話考察レビュー
ドラマ『ライオンの隠れ家』(TBS系)が放送開始した。本作は、主演の柳楽優弥&坂東龍汰演じる兄弟の前に、謎の少年「ライオン」が現れたことで、2人の生活が一変していくことになる。家族愛や兄弟愛の変化を描く愛と絆の物語だ。今回は、第1話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】柳楽優弥がイケメン過ぎる…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『ライオンの隠れ家』劇中カット一覧
謎の少年「ライオン」が 兄弟の規則正しい日常を壊していく…。
完全オリジナル脚本で描かれる『ライオンの隠れ家』(TBS系)がスタートした。本作は弟のために生きる兄と自閉スペクトラム症の弟が、“ある事件”に巻き込まれていくヒューマンサスペンス。主演はTBSドラマに初主演する柳楽優弥が務めるとあって、注目度の高い作品といえるだろう。 柳楽演じる小森洸人は市役所で働きながら、自閉症の弟・美路人(坂東龍汰)と2人で暮らしていた。美路人は芸術の分野で突出した才能を持っているが、生活のなかで起こるイレギュラーには滅法弱い。そのため、洸人と美路人は、毎日規則正しい凪のような生活を送っていた。 そこに突然、ライオンと名乗る男の子(佐藤大空)が現れる。ライオンの登場に取り乱す美路人をよそに、「ここで暮らします」と譲らないライオン。 洸人も最初は警察に行こうとしていたが、ライオンがかつて洸人たちと一緒に暮らしていた異母姉の愛生と同じように、カレーに大量のマヨネーズをかけていたことから、もしや義姉の子どもなのではないかという考えが過る。また、背中にアザがあるのを見つけて虐待の可能性を考え、気持ちが揺らぎはじめる。 美路人も美路人で、ライオンが持っていた図鑑を自分のものと勘違いして取り合った結果壊してしまった申し訳なさや、彼の身体にあるアザを見たことで、「その(ライオンが帰るべき)プライド=群れは安全ですか?」と洸人に問いかける。
主人公・洸人のリアルな人物像
洸人は、とにかく優しい性格だ。働いている市役所のなかを歩くだけでも、コピー機の調子が悪い、ポスターを貼るのを手伝ってくれと声をかけられる。この人なら助けてくれると、みんなから認知されているのだろう。 ただ、それでも自分たちは自分たちなりに精一杯のなかで暮らしているのだということには自覚的だ。実際、「苦労のない公務員」というお客さんの心ない声や、美路人がライオンを警察に連れて行くことに難色を示したときには胸の内をちらりと覗かせる。ただのお人好しというだけではない、リアルな洸人の人物像が浮かび上がってくるようだった。 そんな洸人が、自分の親戚かもしれない、居場所のない少年を前にしている。気持ちは大きく揺れ動いたはずだ。美路人との生活を守るためには、このまま警察にライオンを預けるべきなのは間違いない。 だって、自分たちの生活で手一杯であることは事実だし、本当に愛生の子どもだという確証もない。だけど、恐らくは公務員だからこそ、この子がこの後にどういう道をたどることになるかが想像できてしまう。親元に返されたとき、そこでライオンは安全に暮らせるとは、とても思えない。 逡巡する洸人を置いて、状況を察知したらしいライオンは1人で警察署へ向かって歩き出す。その後ろ姿をひとしきり眺めたあと、洸人は叫びながら走り出し、ライオンの手首を強く掴んだ。