アメリカ西部に隠された歴史的な地で想う、平和への祈り|エノラ・ゲイとウェンドーバー陸軍航空基地
博物館に展示された目を引くレプリカ
映像シアターやイベントルーム、ギフトショップが入った2棟の博物館は、当時実際に使用されていた建物を修復したものだ。戦争を直接知らない世代でも、平和の大切さを学べるように、館内の展示物は訪れる度に増え、以前はなかった有料のガイド付きツアーも提供されていた。 残念ながら筆者が到着したときには、ツアーが終了していて、エノラ・ゲイの格納庫内部を見ることはできなかった。しかし、ウェンドーバー陸軍航空基地ホームページで、修復中の写真や映像を見ることが可能だ。
平和への祈り
博物館には、2歳のときに広島で被爆し、その後12歳という若さで白血病でなくなった、「佐々木禎子(ささきさだこ)さん」をモデルにした英語の本と千羽鶴が、鍵のかかったショーケースの中に展示されている。 ウェンドーバー陸軍航空基地ホームページによると、折り鶴は実際に禎子さんが折ったもので、禎子さんのご家族によって1羽、この博物館に寄贈されたそうだ。小さな木製の枠で囲まれた障子の棚に飾られているのがその1羽。 荒涼とした大地に広がるこの地で、戦争という大きな運命の渦に巻き込まれた人々の想いを感じる中、平和とは一朝一夕で実現するものではないと痛感した筆者。過去から学び、その重みを受けとめることで、戦争のない未来への小さな一歩を踏み出すことができるのではないだろうか。 ウェンドーバー陸軍航空基地 352 East Airport Way Wendover, Utah 84083 文・写真/トロリオ牧(ユタ州在住ライター) 2001年渡米、ユタ州ウチナー民間大使。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。
サライ.jp