【シンガポール】海事庁とマレーシア海運大手、DXで提携
シンガポール海事港湾庁(MPA)は、マレーシアの海運大手MISCと海事産業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を共同で推進する覚書を交わした。契約期間は3年だ。 両者はデータ共有やサイバーセキュリティー対策への取り組みなどを通じて、海事産業でサステナビリティー(持続可能性)に貢献するデジタル技術の導入を促す。船舶の効率的な運航や代替燃料船の活用などを推進することで、業界全体の持続可能性の向上につなげたい考えだ。 具体的には、海事港湾庁が提供するプラットフォーム「ジャスト・イン・タイム・プランニング・アンド・コーディネーション」を活用しながら、両者間でタンカーの効率的な運航管理に関するデータ共有、技術開発、テストベッド(実証試験ができる環境)の整備を進める。 同プラットフォームはシンガポールに到着したタンカーと利用可能な停泊所をマッチングさせたり、給油や船員管理などの関連サービスの情報を提供したりする機能を持つ。「デジタルポート@SG(シンガポールに入港する船舶の行政手続きを一本化するクラウドサービス)」の下で運営されており、シンガポール港湾内などでの入出港届に関する書類の電子化、サイバーセキュリティー対策強化に貢献している。 このほか今回の提携では海事業界での人工知能(AI)やデジタルツイン(現実世界のデータを使い仮想空間上に同じ環境を再現する技術)の活用、半自律型船舶の運航に関する研究にも共同で取り組み、船舶運航の効率性、安全性向上につなげたい考えだ。陸上での船舶管理に従事する人や、代替燃料船に乗る船員の技能向上に向けた研修も共同で提供する。