体幹がパワーアップし四肢の動きも滑らかに……レフ筋トレ「長座腕支体幹三段回法」で背面を鍛える
高岡英夫氏が提唱する、優れた筋肉を育てる画期的トレーニング「レフ筋トレ」から長座腕支体幹三段回法(ちょうざ・わんし・たいかん・さんだんかいほう)を紹介する。背面側の筋肉が強化され、体幹から発せられるパワーが向上、歩く・走るといった動作の他、呼吸まで深く、楽になるトレーニングだ。記事前半で触れた「正確無比な身体使い」を忘れずに行っていただきたい。 なぜイチローは筋トレを「否定」したのか……運動科学の第一人者が解き明かす真理 『運動科学者もみずから実践! 身体のパフォーマンスを最高に高める最も手軽な方法』より続きます。
NPSで立ち、体幹を上・中・下に分けて回す
その場歩きを行い、自分の身体をよく観察してください。 美しいシルバーの地芯上空6000キロメートルに立ちます。両足を握り拳一つぶん開き、その内法(足の内側の線)を平行にしてください。それが「NPS」(ナチュラル・パラレル・スタンス)です。 ウナ(脛骨直下点)と転子(股関節の中心)を結んだ直線(脚センター)が、左右両脚とも完全に平行で、かつ両足の内法が正面を向いて平行になるようにしましょう。 体幹を上段・中段・下段に分けます。それぞれの目安は次のとおりです。 ・上段=鎖骨から、胸骨の下の端の少し上まで ・中段=上段のすぐ下からヘソまで ・下段=ヘソから恥骨結合(ちこつけつごう)まで 恥骨結合とは、ヘソから下へ、下腹をまっすぐ、陰部に近いところまでたどっていくと、途中で骨の隆起に気づくと思いますが、その部分です。 下の写真のように、手のひらで目安をつけていくといいでしょう。 先ほど触った境目を指で切る(そこで切られているかのように意識づけする)、そして、その切られた間の部分をゆるむように、ゆるむように回す、という運動を行います。 【下段を回す】 中段と下段の境目(ヘソ)を切りましょう。指で背中側まで境目をなぞるとできる境界面が、あなたの身体を貫き通しているとイメージしてください。そして下段を、ゆるむように、ゆるむように縦回転で回します。 下段を前へせり出すように、股、腿の付け根を通って後ろ側へと向かう軌道をイメージして行ってください。このときに「上から下」と言いながら行います。今度は尾骨→仙骨→腰椎5、4番というふうに、下から上へと、後ろへ引き気味に丸くなっていくように回転させていき、「下から上」と声に出して言います。 このように、「上から下」「下から上」とつぶやきながら、かつ動きに合わせて下段を手で擦りながら、球体をつくるイメージで回しましょう。 【中段を回す】 中段と下段の境目(ヘソ)を背中まで切ります。さらに、上段と中段の境目(胸骨の下の端より少し上)も切ってから回します。 下段のときのように、「上から下」「下から上」と言いながら、手で擦りながら中段をゆるむように、ゆるむように回しましょう。球体ができるように回すのも同じです。何度もくり返してください。 【上段を回す】 上段と中段の境目を切ります。背中側に手を回したときには、指はちょうど肩甲骨の下端を通るはずです。「上から下」「下から上」と言いながら、鎖骨のすぐ下を擦って回しましょう。 「上から下」では胸側が球状に丸くなり、背中側がへこみます。「下から上」のところでは背中側が丸くなり、胸側がへこみます。難しい動きですが、ゆるむように、ゆるむように、何度もよくくり返してください。