無印の無香料おしゃれ着洗剤が赤ちゃんの洗濯物にも使いやすそう
家事アイテムオタクなライター藤原千秋が、暮らしの不具合等々への現実的対処法とともに、忌憚ないアイテム使用感をご紹介していく連載記事です 【画像】無印良品「おしゃれ着用洗剤」のパッケージ裏 夏頃、隣人が赤ちゃんを出産されたらしい。静かな部屋で仕事をしているとごく微かにその泣き声が聞こえてくる。 最初の頃の明らかに新生児らしい、柔らかな泣き声がだんだんと成長してきて、もう生後4カ月になるのだろう。最近では、だいぶ力強い子供っぽい泣き声に変わってきた。 マンション住まいの哀しさで母子にはまだ会えていないのだが、声を聞きながらその成長を勝手に喜んでいる昨今だ。 筆者もあのような「赤ちゃん」を育てていた時代があるのだが、今の我が家には完全に大人サイズの「子供」たちしかいない。実際に3人のうち2人は成人してしまった。5人家族のうち4人が名実とも「大人」だ。 もう記憶に遠い、お人形の衣類のような小さい靴下など服たちを、なくさないようおっかなびっくり扱っていた日々。それらはだんだんに大きく、入れ替わり立ち替わり、枚数も汚れ方もどんどん変化していった。 洗濯ひとつ取っても子育ての日々では同じ状態には留まらず、枚数も種類も洗い方も「これが正解」なんてものは儚く消えていく。 かつて家族で唯一の大人女性であった筆者の仕事着だけが該当していた「おしゃれ着」は、せいぜい週に一、二度の洗濯でまかなわれていた。 しかし今はどうだ。大学やバイト先に着て行く服、私服の高校に着ていく服、塾に着ていく服。ワンピース、プルオーバー、スカート、ブラウス、シャツ、カーディガン、ニット。あれも洗って、これも洗って。家の洗濯物の大半が「おしゃれ着」になってしまった。 赤ちゃんを抱っこしていた頃の私へ。「女の子を産んで大人にすると、おしゃれ着の洗濯物が異常に増えるよ!」……なんて言ってもピンと来なかったろう。赤ちゃんを抱えてちゃ、それどころじゃない。「おしゃれ着がいっぱいで大変!」なんてのは子育て全体からすれば呑気すぎる嘆きだ。 それでも今年も気温が下がり、外干しで乾きにくい冬にはおしゃれ着の部屋干しも頻度が上がるわけで、そうするとやっぱり家の中に漂う余計なにおいが気になる。「無香料 おしゃれ着用洗剤」のお出ましだ。 MUJIの無香料の柔軟剤をかつて驚きをもってレビューしたが、ある日似たようなパッケージの「おしゃれ着用」洗剤を見つけ、またハッとした。寡聞にしてこんな存在をほかに知らなかった。ここでも無香か。そうか、そうだね、という頷き。 筆者が「無印良品」と出会ってから35年が経つのだけど、初めての出会いからずっと時代や私自身の「少し先」のものを提示してくれるのがいつもMUJIだ。我が家の洗濯事情同様、世の中の価値観はぐりぐり変わっている。いま過剰な「におい」は、目に見えない一種の暴力と位置づけられつつある。 もう大人サイズの娘たちのおしゃれ着を過不足なく洗えるこの洗剤で、彼女らが赤ちゃん時代の毛糸のおくるみなども洗えたら良かったな、とも思うが詮ない。 この冬、初めてセーターを洗って乾かしたら、毛糸そのもののにおいがした。顔を埋めて少し、うれしかった。
家電 Watch,藤原 千秋