奈良・五條メガソーラーで議会は紛糾、山下知事に求められた難しい舵取り…新政策推進も自民会派らと対立
奈良県の山下真知事は5月で就任から1年を迎えた。大阪以外で唯一、日本維新の会公認で当選した知事として、新しい政策を推進した一方、県議会の自民党系会派などとの対立が表面化。難しいかじ取りが求められた。
「丁寧な説明と地域の声を受け止め、県政を運営していただきたい」「山下県政に対して是々非々の立場で、与えられた責任と使命を果たす」。3月25日の県議会本会議。山下知事の初の編成となる、今年度一般会計当初予算案を巡り、修正案を提出した最大会派の「自民党・無所属の会」の議員はそう主張した。自民と公明党の県議らと、知事の意見の食い違いが明白になった。
発端は1月だった。五條市の県有地に計画中の防災拠点を巡り、当初計画を見直して大規模太陽光発送電施設(メガソーラー)を整備する、とした知事の案に対し、地元などが反発。知事が出向いて、地元住民に説明しても理解は得られず、「十分な説明がされていない」と市町村長らが要望書を提出する事態に発展した。
県議会も紛糾した。
特別委は防災拠点関連費用が盛り込まれた当初予算案について30年間なかった否決という結論を出し、自民党・無所属の会の修正案を本会議で可決。計画は事実上白紙となり、防災拠点のあり方を議論する検討部会が設置された。
県は11月の検討部会で、メガソーラーより小規模な太陽光発電施設などの導入も検討するとした。当初案から大幅な縮小となった。
一方で、「高校授業料の無償化」など教育や子育ての支援策を進めた。部局横断の「行財政改革推進会議」も設置するなど、新規政策を次々と発表した。
今月25日の記者会見。山下知事は「賛否両論はあったが、県議会と適度な緊張関係をもって議論できた」と1年を振り返った。「今後も正々堂々と議論し、市町村とのコミュニケーションも充実させ、県政への関心をもってもらえるよう発信する」と力を込めた。
評価が割れても、丁寧な説明と調整で県政を推進できるか。今後の対応が注視される。(山田珠琳)