岩屋外相の訪中「ゼロ回答」でも日本からの〝土産〟多く 軽く扱われ自ら媚びた節、中国は石破政権に「日米の分断」図り
【八木秀次 突破する日本】 自公連立政権は10月の衆院選の結果、衆院では過半数に満たない少数与党に転落した。 【画像】中国が発表した新たな地図に非難が広がっている 国内基盤の弱い政権が、いかに軽く扱われるかを見せつけたのが岩屋毅外相の訪中だ。自ら媚びた節さえある。 岩屋氏は25日、就任後初めて中国を訪問し、李強首相、王毅共産党政治局員兼外相と会談した。外相の訪中は1年8カ月ぶりとなる。 会談後、岩屋氏は記者団に「来年の最も早い適切な時期」に王氏の訪日を実現し、その際に経済閣僚らが出席する「ハイレベル経済対話」を開くことで一致したと述べた。 「中国共産党の外交部門トップ・王毅政治局員兼外相の訪日が早期に実現すれば、李強首相を招いた日中韓首脳会談(サミット)の開催にも弾みとなる。その先に、石破(茂)氏の訪中や習(近平)氏の訪日も視野に入る」と朝日新聞(26日付)は解説している。 記事には、日本政府も、今回の訪中を「首脳や外相の相互訪問に向けたキックオフ」(外務省幹部)と位置付けているともある。「対話路線を徐々に軌道に乗せて一定の信頼を醸成したい考えだ。経済界でも関係改善に期待する声は根強い」との記述もある。 中国は、石破政権との間で関係改善に前向きとされる。 しかし、石破政権に取り入って「日米の分断」を図ろうとしているだけではないのか。朝日新聞は「日中歩み寄り 米新政権を警戒」との見出しを掲げている。日中で共闘してドナルド・トランプ米政権と対峙(たいじ)するとでもいうのか。警戒すべきは中国の方だ。 中国はアステラス製薬の日本人男性社員らをスパイ容疑で拘束している。9月には広東省深圳で日本人男児刺殺事件も起きた。情報開示にも応じていない。日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が設置したと見られるブイも複数確認されている。 岩屋氏はブイについて抗議し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海情勢や、中国軍の活動活発化などに深刻な懸念を伝えたとのことだが、口だけでしかない。 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出をめぐる日本産水産物の輸入禁止措置にも再開の合意を実施していく方針を確認しただけだ。いわば「ゼロ回答」だ。