【続報サヨナラ50cc】税金は50ccのまま? 原付免許で特定の125ccに乗れる「新原付」の税制はどうなる?
排気量「125cc以下」となる新原付にも50ccの税額が適用される?
そして税金(軽自動車税)は総務省が管轄している。税額は排気量に応じて決まっているため、最高出力で区分される新原付には対応していない。このままでは125ccクラスと同じ税額が徴収されてしまう。 そこで、警察庁、国土交通省、経済産業省は、新原付に関する税制改正要望を総務省に提出。これには「現行の第一種原動機付自転車の軽自動車税の標準税率を参考としつつ、適切な税額の適用を要望する」との文言があり、排気量125ccの新原付に従来と同じ50ccの税額適用を求めている。 この要望に対し、総務省の松本剛明大臣は9月3日の会見で「関係省庁の意見を聞きながら税制改正プロセスにおいて検討してまいりたいと思います」とコメントしている。 今後、総務省は要望省庁と協議し、与党税制調査会での検討を経て、2024年末に公表される令和7年度税制大綱に新原付の税制を記載。その後、地方税法改正案が国会に提出され、議決することでようやく新原付の税制が決まる。2025年4月の道交法改正に間に合わせるのは当然として、もっと迅速に決定してほしいものだ。 ――なお私見では、新原付の税額を50cc扱いとすることは正当と考える。そもそも新原付が導入されることになったのは、ほぼ日本限定の排気量帯となっていた50ccに、グローバルで厳しい排ガス規制を政府が適用したことが発端だ。 規制は50ccクラスを想定していなかったため、対応が困難。適応したとしてもメーカーは採算が取れないほど高コストになってしまう。そこで苦肉の策として「新原付」が生まれた経緯がある。政府が招いた事態にも関わらず、ユーザーに増税で負担を強いるのは不当だと思うのだ。 2025年の春まで新原付に関する動きは見逃せないが、税制に関しても注目。意見のある人は警察庁または国交省まで意見を寄せてみてはいかがだろうか?
【おさらい】新原付とは?
これまで原付免許は、排気量50cc以下(電動バイクは定格出力0.6kw以下)のバイクしか運転できなかったが、2025年から125cc以下の二輪車まで乗車できる「新基準原付」の新制度が検討されている。 新基準原付とは、排気量125cc以下で最高出力4kW(5.4ps)以下に制限したバイクのこと。今までは排気量で原付一種(50cc以下)を区分してきたが、今後は枠組みが変わり、出力を制限した125cc以下の新原付バイクを原付免許で運転できるようになる。 車両はコストダウンを考慮し、既存の51~125ccモデルをデチューン。車体は同じで性能のみダウンさせることになる。 区分が見直されるキッカケとなったのが、排ガス規制強化による50ccバイクの生産終了。2025年11月から厳しい排ガス規制が適用されるが、排気量の小さい50ccでは規制値をクリアすることが困難。また排ガスの異常などを検知する車載式故障診断装置(OBDII)の登載も義務化されるなど高コスト化で採算が取れないことから、メーカーは生産から撤退すると予想される。 しかしながら日本では現在も年間9万台規模を販売。地方を中心に生活の足として根ざしているため、多くの国民が困る可能性があった。そこでメーカーや業界団体が新原付を要望。2023年9月から警察庁が検討を重ね、運転特性に関する委員会の報告などを経て、2024年8月30日に道路交通法施行令改正に向けた意見募集を行った。
沼尾宏明