農業用資産に相続税 英国政府の計画に農家が抗議
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【12月12日 AFP】英ロンドンの国会議事堂前で11日、農業従事者らが農業資産に相続税を課す政府の計画に抗議した。 労働党政権は10月に発表した予算案で、これまで100%の相続税控除を受けられていた農地と事業用資産を合わせた農業資産について、2026年4月から100万ポンド(約1億9400万円)を超える分に対して20%の相続税を課すとした。これに対し農業従事者は、農業部門と食料生産を脅かすと猛反発している。 農業従事者らは議事堂前の広場に数十台のトラクターを並べて、「食べ物を供給している恩をあだで返すな」と書かれた横断幕を掲げた。 ケントで農場を所有するウィリアム・ピカリングさん(44)はAFPに対し、「相続税には我慢ならない」「(政府が)大きな過ちを犯したと理解することを期待している」と語った。計画が撤回されるまで抗議を続けるつもりだという。 抗議デモは先月も実施され、ロンドンに約1万人が集結した。 政府は、基礎控除を考慮すれば、相続税を支払わなければならない農業資産は事実上300万ドル(約5億8200万円)を超える分からになると主張。 キア・スターマー首相は11日、議会で「大多数の農家は影響を受けない」と明言。「われわれは今後2年間で50億ポンド(約9700億円)を農業に投入する。これは予算における過去最高額だ」と述べた。 英国の農家は近年、資金不足と欧州連合(EU)離脱に伴う労働力不足に苦しんでいる。 ピカリングさんの隣にいた娘のグレースさん(16)も、相続税が課されることになれば、家族の農場を引き継げなくなるのではないかと懸念。「畑を売らなければならなくなれば、耕作地が足りなくなって農場が存続できなくなる」と説明した。 映像はロンドンとヨークで11日撮影。(c)AFPBB News