なぜイングランド女子サッカーは観客が増えているのか? スタジアム、ファン、グルメ…フットボール熱の舞台裏
スタジアムグルメやMDPも充実
取材した2つのスタジアムに共通していたのは、いずれも駅から徒歩圏内にあるスタジアムで大きな駅からのアクセスがよく、観客は女性層が多いことだ。 チケットの価格は、どちらも12ポンド(約2500円)だった(いずれも子どもや学生、シニアは割引が適用される)。現在は1ポンドが200円近くまでになっており、物価は日本の2~3倍。そう考えると、チケット代は日本で1000円~1500円ぐらいの感覚だ。WEリーグの試合は自由席が1500円前後から(芝生席だと1000円ぐらいから)買えるので、同じぐらいだろう。 スタジアムグルメは、両スタジアムとも7~10種類ほどが用意されていた。アメックススタジアムの外で販売されていた名物のフィッシュアンドチップスは14ポンド(約2800円)で、チキンやソーセージもあった。 ジョイスタジアムのメニューは多彩で、海鮮サンドやサラミピザ、ベジタブルスープなどが5ポンド前後(約1000円)、他にケーキやチョコレートなどのデザートも充実していた。公式サイトの情報によると、各種アレルギーやベジタリアン、ヴィーガン、ハラール食品(イスラム教徒が安心して食べられるもの)やグルテンフリーなどにも対応できるスタッフがいるそうだ。 驚いたのは、マッチデープログラム(MDP)の充実ぶりだ。価格は4ポンド前後(約800円)。ブライトンはアメリカンコミック風の表紙がお馴染みで、中は注目選手のインタビューやポスター、対戦相手の分析から試合時の写真などが30ページ近くで構成されている。シティも、男子と同じぐらい、MDPのコンテンツが充実していた。WEリーグでは、見どころや注目選手のインタビューを簡潔にまとめたMDPをオンラインなどで無料公開しているチームが多い。WSLには、それだけコアなファンが多いということだろう。 余談だが、記者室には記者やカメラマン向けのビュッフェが用意されており、厚遇に驚いた。NWSLの試合を取材した時もそうだったが、こうした面でも、男子のノウハウや女子のための予算が確保されているのだろう。