福島県内業況、2四半期連続で改善 日銀福島支店、人手不足など懸念も収益良好
日銀福島支店が13日発表した12月の県内企業短観は、業況判断指数(DI)が全産業で前回の9月調査から1ポイント上昇のプラス3となり、2四半期連続で改善した。中国など海外需要の減速や人件費上昇、人手不足など懸念要因はあるものの、企業収益は良好で設備投資計画には大幅な伸びが見込まれている。 製造業の業況判断DIは1ポイント悪化の0。国内外でデータセンターへの投資が活発化した一方、値上げによる顧客離れが発生し、建設需要が落ち込んだことで建材の受注が減少した。 非製造業は1ポイント改善しプラス5だった。価格転嫁が進展したほか、関東圏や台湾からの観光客が増加した。コメの価格高騰で農家の設備投資が積極的になり、農機具の販売も好調だった。 雇用人員の過不足感を示す雇用人員判断DIは、全産業で前回から横ばいのマイナス36となり、深刻な人手不足が続く。年度末には定年退職者が集中することでマイナス幅の拡大が見込まれる。本年度の新卒採用は製造業を中心に積極的に行われたが、応募者が少なく内定者の辞退も増えたことで前年割れした。 先行きの業況判断DIは、次回来年3月予測の全産業で5ポイント下落のマイナス2を見込む。福島支店で記者会見した中嶋基晴支店長は「景気の悪化とは見ていない」とした上で、「人手不足は引き続き大きな課題だが、賃上げによる消費マインドの盛り返しやIT関連需要の回復に期待したい」との認識を示した。