嚥下障害は食べる楽しみに影響、栄養状態低下の原因にも―予防には耳鼻咽喉科に相談を
◇予防のカギは筋力キープ
明らかな疾患によって嚥下障害が起こっている場合は、その治療が必要であるのは当然ですが、ひと口に嚥下障害といっても人によって、症状も原因もさまざまです。外科的な治療が行われることもありますが、嚥下姿勢の改善や、飲食物の量や形態の工夫などによって、スムーズな嚥下を取り戻せる場合もあります。飲み込みに少しでも不安がある場合は、年齢のせいだと諦めず、耳鼻咽喉科やその他の医療専門職に相談して、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。 高齢の家族に、食事の時間が長くなった、たびたびむせる、などの症状が見られる場合も同様です。また、なるべく体を動かすようにして全身の筋力をキープすることや、舌を前後に出し入れする、口をすぼめて深呼吸をするなどの「嚥下体操」は、嚥下障害の予防に効果的です。いくつになっても美味しいものを楽しく食べられるように、そして、健康で長生きするために、嚥下障害の予防とケアを心がけましょう。
◇嚥下の基礎訓練「藤島式嚥下体操セット」
1.嚥下体操頸部の緊張をとり、嚥下をスムーズにする ①口すぼめ深呼吸 ②首の旋回運動 ③肩の上下運動 ④両手を頭の上で組んで体操を左右側屈(胸郭の運動) ⑤頬を膨らませたり引っ込めたりする ⑥舌を前後に出し入れする ⑦舌で左右の広角に触る ⑧強く息を吸い込む(咽頭後壁に空気刺激を入れる) ⑨パ、タ、カの発音練習 ⑩口すぼめ深呼吸 2.嚥下おでこ体操(または頭部挙上訓練)嚥下筋力強化 頬に手を当てて抵抗を加え、臍をのぞきこむように強く下を向く ①持続訓練:ゆっくり5つ数えながら持続して行う ②反復訓練 :1から5まで数えながら、下を向くように力を入れる 3.ペットボトルブローイング嚥下改善、呼吸改善、鼻咽腔閉鎖機能、口唇閉鎖機能改善 4.アクティブサイクル呼吸法咳嗽力強化、咽頭感覚改善 5.発声訓練(なるべく大きな声を出す)声門防御機構の強化 ※ http://www.hriha.jp/section/swallowing/gymnastics/ より引用 ※ 特に軽症嚥下障害者の方々に有効な嚥下の基礎訓練です。詳細については、専門医や医療関係者の指導を受けられることをお勧めします。 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「健康寿命への挑戦(https://www.jibika.or.jp/owned/healthy-aging/swallowing.php)」より引用