日銀の金融政策、国内企業には負担増でも正常化推進を-自民・越智氏
(ブルームバーグ): 自民党の越智隆雄衆院議員は、金利上昇が国内企業のコスト負担増になったとしても、日本銀行は2%の物価安定目標の達成に焦点をあて、金融政策の正常化を推し進めるべきだとの見解を示した。
越智氏は10日のインタビューで、国内企業はデフレ環境下での価格設定や雇用慣行からの脱却が遅れていると指摘。金利上昇や足元の円安による物価上昇が企業の負担増になっていると述べた。ただ、そのサポートは「政治の役割」であり、金融政策の正常化を遅らせては「失われた40年」につながるとの見方を示した。越智氏は自民党の財政健全化推進本部事務局長や金融調査会の幹事長を務める。
日米金利差を背景とした円安は輸入物価の上昇をもたらす一方、トヨタ自動車が5兆円超の営業利益を記録するなど輸出産業には追い風だ。製造業の国内回帰や外資系半導体の国内工場設立も進んでいる。越智氏は現在の為替水準で輸出や投資が増えることは「大きな価値になり得る」とし、為替水準を是正するのでなく、水準に見合う国内産業構造の改革を急ぐ時だと述べた。
追加利上げの時期を巡り、自民党内から地域経済への影響を懸念する慎重論が聞かれる中、越智氏の発言は金融政策の変化に後れを取る構造改革に危機感を示した形だ。日銀が4月25、26日に開いた金融政策決定会合では「円安を背景に基調的な物価上昇率の上振れが続く場合には、正常化のペースが速まる可能性がある」との意見もあった。
越智氏は正常化のペースについて、中小・零細企業の賃上げが完了するのは9月ごろになると指摘。賃金が物価を超えるかどうかの確認は秋ごろになると想定していたが、円安の進行で輸入物価が上昇していることから想定より時間がかかる可能性があると述べた。
行き過ぎた円安の脱却に向けては、健全な財政運営に海外からの信任を得ることも重要との見方を示した。経済成長に必要な投資をしながらも、基礎的財政収支(PB)の黒字化目標など「健全化への旗は基本的には下ろすべきではない」と述べた。
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Yuki Hagiwara, Erica Yokoyama