子どもへの「甘やかし」と「寄り添い」の違いは?「どうせダメと言ったらめんどくさいことになる」と先入観がある場合は<甘やかし>かも。子どもが自立・自律に向かう考え方とは
◆「引き算」で見える真の寄り添い 「寄り添う」と「甘やかし」を区別するためには、大人の「決めつけ」を引き算することがおすすめです。 どのような決めつけかというと、「甘やかし」の場合は「どうせこれをダメと言ったらめんどくさいことになる(子どもが泣いて怒る)」という気持ちが先入観としてある場合が考えられます。 または、「物でつれば子どもは簡単に動く」と考えてしまうことがありますが、それは実は大人の決めつけかもしれません。 たとえば、夕食の時間に子どもが「今から絵の具で遊びたい」と言ったとき、以下のような違いが生じます。 【甘やかす】 「(ご飯の時間なのに、どうしよう……でも、どうせダメって言ったらもっと大変だ)うーん、本当はご飯だけど、じゃあ今やる?」 【寄り添う】 「絵の具で遊びたいんだね! でも今はご飯の時間だから、食べ終わったらやろうか」 この例では、「寄り添う」方は、子どもの気持ちを受け入れつつ、大切なルールを守るための制限も示しています。一方、甘やかす方は、子どもの要求にそのまま応じてしまい、制限を設けていない状態です。
◆制限がもたらす安心感 実は、「寄り添う」ためには、「決めつけ」を引き算することにあわせて、適切な「制限」が必要です。 この「制限」は、決して子どもの自由を奪うものではなく、むしろ安心感を与えるものです。たとえるなら、広い海で何の制限もなく泳ぐのは不安ですが、遊泳区域が決まっていれば安心して自由に泳ぐことができるように。 子どもも「ここまではOK」という範囲があると、安心してその中でのびのびと過ごすことができます。 「決めつけ」を引き算して、まずは子どもの欲求を見てみる。その上で子どもの自立と自律を助けるためにどうかかわると良いかを考えることがおすすめです。 暮らしていくために必要な制限があることで、子どもは自己決定力や内発的動機づけを育みながら、徐々に自立・自律へ向かっていくことができます。 「寄り添い」と「甘やかし」の違いを理解するためには、大人の「決めつけ」を引き算すること、必要な制限をもつことがポイントでした。 この2つの違いが明確になることで迷いが少なくなり、行動(かかわり・声かけ)が減り、実は私たち大人も楽になれるのです。 ※本稿は、『詰め込みすぎの毎日が変わる! 子育ての「引き算」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
モンテッソーリ教師あきえ
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