6週間の臨時雇いでギャラは180万円…韓国プロ野球で2勝した日本人投手(23)が注目される理由
KBOが独立リーグに注目した理由
白川は徳島県の池田高校から徳島インディゴソックスに入団した。豪快に投げ下ろす投球フォームから繰り出される最速150キロ強のストレートが武器で、昨秋のドラフト会議でも指名候補に挙がっていた。 「昨シーズンは55回3分の2を投げ、68個の三振を奪いました。イニング数よりも奪三振数のほうが多いことからも分かる通り、剛腕タイプの先発投手です」(アマチュア野球担当記者) 昨年のドラフト会議といえば、同じく徳島から椎葉剛(22)が阪神から2位指名されたように、独立リーグは支配下で6人、育成枠で17人をNPBに送り出している。独立リーグの力が侮れないことが分かる。去る6月16日、徳島と阪神二軍の交流試合でも徳島が3対2でサヨナラ勝ちを収めている。二軍とはいえ、プロと“対等以上の勝負”ができる独立リーグから一本釣りされた白川の活躍を予想していた日本の関係者は少なくなかったが、KBO側の捉え方は少し異なる。 「この制度は確かに良いルールだと思います。でも、所属の外国人選手が負傷してから代わりの選手を探すとなると、アメリカの選手や中南米の選手は、こちらから出向いて調査、交渉など、来韓まで日数が掛かってしまいます。そこで、日本の独立リーグに目が向けられたんです」(前出・現地記者) SSGのスタッフが徳島入りしたのは、5月18日のことだった。同日から予定されていた福岡ソフトバンクホークス三軍との3連戦(19日は雨天中止)を視察し、あっという間に白川との契約が決まったという。 「当時、SSGは首位・起亜タイガースと4.5ゲーム差でしたが、先発ローテーションの一角で、昨季8勝を稼いだロエニス・エリアス(35)を左内腹斜筋の故障で欠き、代替投手を探していたのです。KBOは全10チーム。上位4チームが決勝プレーオフに進出しますが、SSGが現在5位につけているのも、白川のおかげです。SSGには元オリックスの鈴木郁洋、元千葉ロッテ・渡辺正人氏がコーチとして在籍していますが、日本人選手がKBOでプレーするのは中日、横浜(現DeNA)などで活躍した門倉健氏(50)以来、13年ぶりです」(同) 先の「スポーツソウル」はこうも伝えていた。 「白川は同日、計92球を投げたが、そのうちフォークボールが14球だった。15.2%の割合だ。ストレート(49球)が最も多く、スライダー(18球)が後に続いたが、フォークが“決め球”の役割を果たした。奪三振も6つ記録したが、そのうち半分の3つがフォークだった。フォークは日本人投手の主な武器だ。多くの投手が使いこなす球種である。もちろん、韓国国内にもフォークボーラーは少なくないが、『全ての投手が投げる』球種ではない。むしろ、韓国ではチェンジアップの方が多い。ただ、日本においてフォークはほぼ『基本装備』と言っても過言ではない」 昨秋のドラフト特集本などを見ると、白川の持ち球は、「スライダー、カーブ、チェンジアップ」と紹介されていた。実際の試合でもフォークボールを投げていたが、多投している印象はない。KBOは「打高低投」の傾向にあり、各チームのスラッガーはフルスイングをしてくる。フォークを決め球にするのは効果的なのだろう。 「SSG合流後、捕手出身の鈴木コーチらがアドバイスしたのだと思われます」(前出・同)